先月24日にあったドイツの総選挙は、メルケル首相が率いるキリスト教民主・
社会同盟(同盟)が、第1党を維持しましたが辛勝で、連立相手の社会民主党
(SPD)とともに、大きく票を減らしました。SPDは下野を表明しました。第3党に
躍進したのは新しく勢いを増している右翼の「ドイツのための選択肢(AfD)」
で、94議席を獲得しました。メルケル氏は、中道の自由民主党(FDP)、環境
政党の90年連合・緑の党との3党連立が雄一の可能性と報じられています。
ただ、政策で隔たりがあり、交渉は難航必至とも、いわれています。ドイツでは、
難民政策が大きな論点になっていて、難民保護を申請した人物によるテロや
事件が相次ぎ治安への不安が拡大し、AfDへの追い風となりました。アメリカ
でのトランプ大統領をはじめ、「自国第一」を掲げる政党が、ドイツでも躍進した
ことを危惧しています。反難民・反イスラムを掲げて、不安や不満をあおる手法
は、フランスやオランダでのポピュリズム勢力と同じです。欧州では、欧州連合
(EU)加盟国の中で最長の4期目のメルケル首相が、一番安定していて、
統合の中心でもありました。そのメルケル首相が窮地に立つと、欧州全体が
不安定になりかねません。2度と第二次大戦のような戦争を起こさないという
ことで作られた欧州連合を守り、自由や人権を守るトップリーダーとして、
メルケル首相には、存在感を維持してほしいと願っています。日本にとっても
価値観を共有できるドイツで、「欧州の盟主」ともいわれるメルケル首相の
安定政権が作られることは、世界的にも大きな影響があいRます。