中央防災会議の有識者会議は、25日、南海トラフ巨大地震の対策強化に

 

向けた報告書案をまとめました。地震の予知を前提としない現実的な防災対策

 

をとるよう国や地方自治体に求める内容です。「確度の高い予測は困難」と

 

して、地震予知を前提とした防災対応を見直し、巨大地震につながる地殻変動

 

や前震などの異常現象を観測した場合に住民避難を促す仕組みの検討を国に

 

求めた、と報じられています。政府は、地震被害が想定される地域で、複数の

 

モデル地区を選び、避難呼びかけの手順や課題の検証に着手する、ということ

 

です。「大規模地震対策特別措置法(大震法)」の仕組みが見直されるのは、

 

約40年ぶりです。ほとんどの専門家が、現在の科学的知見では、地震の直前

 

予測はできない、としている中で、約40年前から、大震法に基づいて、地震

 

予知を受けて首相が警戒宣言を出し、鉄道を止めるなどの応急対策をとる

 

仕組みが維持されてきています。ようやく、現実に見合った見直しが行われる

 

のだと思います。南海トラフ地震は、東海沖から九州沖の太平洋海底に延びる

 

溝状の地形(トラフ)に沿って起きる可能性がある地震で、東海・東南海・南海の

 

三つの震源域があります。南海トラフ沿いの大地震は、様々な発生の仕方が

 

ありうる、ともされています。現実的な対応策を、政府が中心になって、国民

 

生活や経済活動、医療体制など全般にわたって、想定されるシナリオごとに

 

計画を作っていくことが必要だと思います。東日本大震災の後の中央防災会議

 

には、私も当時の厚生労働副大臣・大臣として出席していましたが、そこでは、

 

防災は、例えば防潮堤の高さをどれだけにすれば安心か問う、どこまでやって

 

もきりがない、それぞれが「減災」のためにできることをしていこう、という話が、

 

たびたび語られました。確度の高い予測はできない、ということが、現在の

 

地震学の力に合わせた方針の変更ですので、私たち、ひとりひとりが、減災の

 

ための意識を持ち、家族、職場、地域などで検討し、具体策を練っていく必要が

 

あると思います。