100歳を超えても、医師として活躍を続けられ、「生きかた上手」などの著作や
講演などでも広く知られていた、聖路加国際病院名誉院長の日野原重明さん
が、18日午前、呼吸不全で亡くなりました。105歳でした。日野原さんは、戦後
いち早く、患者と対等に接する医療に着目し、看護教育の充実などに取り組み
ました。早くから予防医学に取り組み、1954年には、聖路加国際病院が、
人間ドックを先駆的に開設することに関わりました。成人病という呼び方を
「生活習慣病」に帰るきっかけを作ったとされています。患者本位の医療を
アメリカ留学などで学び、末期患者の生活の質を上げるケアの重要性を
訴えて、看護教育の充実に努め、聖路加国際病院長、聖路加看護大学(現在
の聖路加国際大学)学長などを歴任されています。また、柔らかい表現、語り口
で、命を語る姿勢が、幅広い世代に親しまれた、ということです。90歳で出版
したエッセー集「生きかた上手」がベストセラーになり、人間論を語る姿に国内
ばかりでなく海外でもファンが多かった日野原さんでした。また、子どもたちに
平和や命について語る「いのちの授業」を全国の小学校で続けていました。
100歳を超えても、全国を講演してまわり、医師として元気に活躍されて
いました。1970年に、よど号ハイジャック事件に遭遇し、「これからは、生か
されたことへの感謝の思いを、他の人々に返していくのだ」という使命感を
覚えた、と語っていました。私は、NHKの解説委員をしていた時ですから、もう
20年以上前になりますが、長崎県でのシンポジウムでご一緒したことがあり
ます。ほんとうに柔らかい語り口で、わかりやすく、でも信念をもって話される
ので、ずっと印象に残っています。その時に、階段は一段おきに上ると言われ
て、びっくりしたことを覚えています。年をとることは楽しい冒険といわれていた、
ということで、ほんとうに元気に長生きしたいという夢を実現された人生だったと
思います。心から、ご冥福をお祈りします。