イタリアのボローニャで、11、12日の両日開かれた、主要7ヶ国(G7)環境相

 

会合は、アメリカ以外の6ヶ国が、パリ協定の下で温暖化対策に取り組むことを

 

再確認する共同声明を採択して、閉幕しました。アメリカは、温暖化対策に

 

ついての部分の声明に加わらず、最後まで深い溝は埋まりませんでした。昨年

 

5月に富山県で開かれた環境相会合では、パリ協定の実施に向けて7ヶ国が

 

指導力を発揮するとした共同声明を採択していました。トランプ大統領の下での

 

アメリカの方針転換で、今回は足並みを揃えられなくなりました。国連環境計画

 

(UNEP)のソルハイム事務局長は「今回の最大の成果は、ホワイトハウスで何

 

が起きようとも、日本、欧州、カナダの6ヶ国が温暖化対策で前に進むと決意

 

したことだ」と語った、と報じられています。日本の山本環境相は、アメリカ代表

 

のブルイット氏と会談し、トランプ大統領の離脱表明について「失望した」と

 

伝え、ドイツのヘンドリクス環境相との会談でも、アメリカの離脱は「失望」だと

 

いうことで一致した、とのこと。当然のことだと思います。一方で、トランプ

 

大統領が「パリ協定」からの離脱を表明した直後、ドイツ・フランス・イタリアの

 

首脳が、協定を擁護する共同声明を出した際、日本政府が参加を呼びかけ

 

られながら、断っていたことがわかった、とも報じられています。トランプ大統領

 

のアメリカに配慮した、同盟関係を大事にした、とみられているのは、とても

 

残念なことです。トランプ大統領のパリ協定離脱表明の演説の内容は、誤り

 

だらけだった、と指摘されています。○気候変動枠組み条約の下に作られた

 

発展途上国支援のための「緑の気候基金(GCF)」への出資について、

 

トランプ氏は、「アメリカは既に他のどの国よりも先んじている。他の国の多くは

 

何も支払っていないし、これからだって全く払わないだろう」と述べましたが、

 

基金にはアメリカの他42ヶ国が拠出を表明していて、インドネシア、チリ、

 

コロンビアなどの途上国も含まれています。○トランプ氏は、各国が約束した

 

排出削減が実現できたとしても「2100年の世界の気温を0.2度しか低く

 

できない。とてもわずかだ。」と強調しましたが、ドイツのシンクタンクは

 

「対策を取らなければ4度を超える上昇を、2.7度にまで抑えられる」と発表

 

しています。○トランプ氏は「トランプ政権下のアメリカは地球上で最もクリーン

 

で、最も環境に優しい国であり続ける」と主張しましたが、世界銀行によると、

 

2013年のアメリカの二酸化炭素排出量は1人当たり16.4トンで、インドの

 

約10倍、世界平均は5トンなので、世界で最もクリーンには、ほど遠いという

 

ことです。この誤ったトランプ氏の考えを、仲のよい友人として変えさせることを

 

安倍総理にはしてもらいたいものです。