アメリカのトランプ大統領は、1日、パリ協定からの離脱を表明しました。公約
どおり「米国第一」と、自国の利益を最優先させるための、国際ルールからの
離脱には、怒りを覚えます。パリ協定は、京都議定書に代わる新しい地球温暖
化対策の国際ルールで、2015年12月に採択、2016年11月に発効しま
した。産業革命からの気温上昇を2度より十分低く抑えることが目標で、すべて
の国が削減目標を作り、目標達成義務はありませんが達成に向けた国内対策
をとる必要があります。トランプ氏は、パリ協定の仕組みでは、自分を支持した
人が多い石炭、セメント産業などの生産量が落ちると主張し、国内産業や労働
者の雇用を守るために、「離脱して再交渉する」と述べました。また、途上国の
温暖化対策として約束した国連の「緑の気候基金」への拠出金も即座に停止
する、と明言しました。このトランプ演説を受けて、ドイツ、フランス、イタリアの
3ヶ国の首脳が、「再交渉はできない」と共同声明を発表したことは、当然だと
思います。一方、欧州連合(EU)と中国の首脳会談が、2日、ブリュッセルで
行われ、パリ協定を全面的に履行することで合意しました。オバマ前大統領
の時に、パリ協定発効を主導したアメリカが抜けることで、中国とEUが温暖化
対策を主導する動きが加速しつつある、と報じられています。トランプ氏と
仲良し?の安倍総理は、何も進言しないのか、日本の姿勢が国際的に発信
されないことは、いかがなものかと思います。世界第2位の排出国のアメリカが
離脱することで、パリ協定の意義が大きく失われることを危惧します。しかし、
離脱は3年後にしかできず、実際に離脱できるのはさらに1年後で、次の大統
領選後、ということに望みをもちます。また、アメリカでもいくつもの企業が、
温暖化防止に取り組むことを表明し、ニューヨーク、カリフォルニア、ワシントン
の3州の知事が、連邦政府とは別に独自に対策に取り組むと発表していること
は、心強いと思います。以前にも、アメリカは2001年、ブッシュ大統領が、経済
への悪影響を理由に、京都議定書からの離脱を表明しています。温暖化対策
は新たな雇用を生み、経済成長にも貢献することに、トランプ氏は気づかない
のでしょうか。温暖化対策推進の大きな流れは、逆戻りすることはないと思い
ますが、途上国が対策をとるための基金への拠出も即時停止するという
トランプ政権のやり方が、悪い影響を与えることが心配です。地球環境を守る
ことは、最近の異常気象を見ても、国際的な最重要課題のひとつであることは、
間違いありません。各国、各企業などが、取組を加速するように願っています。