政府は、19日、天皇陛下の退位を可能とする「天皇の退位等に関する皇室

 

典範特例法案」を閣議決定し、国会に提出しました。特例法案は、月内にも

 

衆院で審議入りし、今の国会中に成立する見通しです。特例法案には、第1条

 

に、退位に至る事情が時系列で記されています。これは、天皇の意思による

 

退位ではなく、天皇陛下の心痛をおもんぱかった国民の理解のもと特定的に

 

退位を認めるということを、はっきりさせるために、その事情を記したもの、と

 

されています。退位後の天皇を上皇、皇后を上皇后とすること等、これまでに

 

報じられてきたことが、盛り込まれています。皇位継承順第1位(皇嗣)になる

 

秋篠宮さまの敬称は、特例法では不明で、典範で「殿下」と確認できるなど、

 

二つの法律を見ないとわからない事項もあります。国会の審議では、退位が

 

将来の先例として明確に位置づけられるのかが、ひとつの焦点になります。

 

今回の法案によって、皇室典範の付則が改正され、「特例法は、この法律と

 

一体を成す」と明記されます。これは、「皇位は皇室典範の定めるところにより

 

継承する」と定めた憲法第2条への配慮から、ということです。衆参正副議長

 

のとりまとめでは、この付則により特例法は「例外的措置」であるものの、

 

「将来の先例」となり得ることが明らかになる、と整理されています。この考え方

 

でいくのが、天皇陛下のお気持ちにも、国民の多くの考え方とも合うと思い

 

ます。もうひとつの焦点が、秋篠宮眞子さまのご婚約のニュースでも改めて

 

注目される「女性宮家」です。衆参正副議長の「議論のとりまとめ」では、皇族

 

減少対策として検討するよう明記された「女性宮家」が、盛り込まれていず、

 

検討の期限も入っていません。民進党は、付帯決議案に女性宮家の検討を

 

明記するよう、そして検討期限は「1年」とするよう主張していて、検討を急ぐよう

 

訴えています。先日も記したように、皇族の減少は、早く対応しないと、秋篠宮

 

悠仁さまが大人になられた頃には、周りは女性皇族ばかりなので、一人ぼっち

 

になる可能性もあるのです。女性宮家は、女性天皇・女系天皇につながりかね

 

ないので反対、という自民党の考え方では、どのようにして皇族の減少に対応

 

するのでしょうか。11宮家から3宮家になった時に、皇籍を離れた男性を再び

 

皇族にする、という考えもあるようですが、ずっと以前に離れていて、よく知ら

 

ない人を皇族にして、国民が親しみや尊敬の念を持つとは思えません。親しん

 

できた女性皇族に、引き続き何らかの形で皇室に関わっていただくほうが、

 

自然だと思います。こうした議論を、国民の意向も聞きながら、しっかりして

 

ほしいと思います。