文部科学省が、先日公表した2016年度の公立校教員の勤務実態調査結果

 

(速報値)によると、学校内勤務時間が週60時間以上の教員が、小学校で

 

33.5%、中学校で57.7%に上ることが、わかりました。週40時間までとする

 

労働基準法に基づくと、こうした教諭は、週20時間以上の時間外労働をして

 

いることになり、おおむね月80時間超が目安の「過労死ライン」を上回って

 

います。前回、2006年度の調査と比べて、学習指導要領改訂で増えた授業

 

時間や、部活動・クラブ活動にかける時間の増加が、勤務時間を押し上げて

 

いる、と報じられています。中学校では、土日の部活動の指導時間が、1日

 

当たり130分で、10年前から倍増しています。20年前に、国の有識者会議

 

が「週2日の休養日を」と提言したのに、土日も丸1日か半日働いている教諭も

 

多い、ということです。小学校では、2020年度から全面実施される新指導要領

 

で3~6年の英語が週1コマずつ増え、現場の負担は、更に重くなります。先生

 

たちが、過労死しそうなほど疲弊していると、生徒への向き合い方、教育内容

 

にも悪い影響が出てくるはずです。財務省は、昨年秋に、「少子化で児童生徒

 

が減るので、教職員も今の69万人から10年間で4万数千人減らせる」という案

 

を示しています。しかし、教育内容が高度化し、部活の負担もあり、生徒への

 

対応も難しくなっている現状で、教職員数を増やすべきなのに、減らすなど、

 

とんでもないと思います。単純計算して、財源を節約する、という発想が間違っ

 

ていて、子どもの数が減っている中で、教育には、もっと力を入れるべきです。

 

OECD諸国の中で、最低レベルの教育予算を、まともなものに見直してほしい

 

と思います。部活動には校外から指導者を招いたり、文部科学省や教育委員

 

会に出す書類の多さについては、教員の仕事を補う人員を手当したりするな

 

ど、負担軽減に知恵をしぼってほしいものです。