親が育てられない赤ちゃんを匿名で預かる、赤ちゃんポスト(こうのとりのゆり
かご)が、今日10日、開設から10年になりました。ドイツの先行例を参考に、
熊本市の慈恵病院が、2007年5月に導入しました。外側から扉を開け保育室
に赤ちゃんが預けられるとブザーが鳴り、職員が駆けつけて保護します。刑法
の保護者責任遺棄罪などの法令に触れないよう、児童相談所や警察と情報を
共有して、連携して行われています。熊本市の専門部会も、運用状況を定期的
に検証していて、よくできた仕組みになっていると思います。2015年度までの
9年間に預けられたのは125人ということが、市の検証報告書でわかります。
生後1ヶ月未満の新生児が最も多く104人、1年未満の乳児が14人、1年以上
の幼児が7人です。父母などの居住地は、北海道から九州まで広く、国外から
も1人、とのこと。最終的な安全弁とでもいうのでしょうか、助けを求める親が
各地にいることが、わかります。できた時から、育児放棄を助長する等の反対
意見があり、国会議員の時に、国会でもだいぶ議論をしました。もちろん親が
育てるのが一番ですが、いろいろな事情で子どもを殺してしまったり、ひどい
虐待をしたりするより、子どもの命が守られるということで、最終手段として必要
なものだと考えます。預ける理由は、生活困窮や未婚、世間体・戸籍などが多く
なっています。預けられた子どものうち、親が誰かわからないのは20人余りと
いうことで、100人余りは、手がかりをもとに、親が判明していることを知り、
その努力を評価したいと思います。その後の子どもの行く先は、13年度末時点
で、乳児院などの施設が30人、特別養子縁組が29人、里親19人、元の家庭
に戻った子どもも18人いるということです。慈恵病院では、24時間対応の妊娠
相談窓口も設けていて、2016年度は6千件を超える相談が寄せられている、
ということです。ひとつの民間病院としては、よくやっていると思いますが、ある
べき論ではなく、命が危うい子どもを救うために国や行政が、相談体制も含め
て、もっと力を入れてやることが望ましいと思います。