厚生労働省の受動喫煙対策を強化する法改正案をめぐって、与党内から
異論が出て、法案提出が見通せない中、WHO(世界保健機関)のダグラス・
ベッチャー生活習慣病予防部長が、7日に塩崎厚生労働大臣を訪ねました。
ベッチャー氏は、公共の場での屋内完全禁煙を要請する文書を渡しました。
世界保健デーの集会に合わせて来日したものです。WHOのマーガレット・
チャン事務局長による厚生労働大臣宛の文書では、受動喫煙のない東京
オリンピックの実施や、飲食店や事務所を含む公共の場での禁煙を求めて
いる、と報じられています。ベッチャー氏は、東京・新橋の飲食店の視察もし、
「分煙では不十分。たばこを吸う場所で食事をするなんてありえない」と話し
ました。文書を受け取った塩崎厚生労働大臣は、「(現在の法改正の)厚労省
案を下回らない水準で、対策をとらなければならない」と述べています。その案
では、すべての飲食店を禁煙にするものから後退し、小さな規模の店でお酒を
出す店は除外することになっています。それでも反対している与党をはじめ
喫煙を推進する議員たちの動きは、受動喫煙による健康被害を無視したものと
思います。日本の規制は、WHOの4段階評価で最低に分類されています。
完全な分煙はできない、ということもわかっているので、是非、オリンピック・
パラリンピックを機会に、タバコの煙のない社会を実現してほしいと願って
います。