アメリカでトランプ政権が発足して、今日20日で1ヶ月になります。

 

この間、7ヶ国の人の入国を停止するなどの大統領令を連発し、

 

政権内部では、混乱が続いています。就任前に対ロ制裁協議を

 

したとして、側近の国家安全保障担当のマイケル・フリン大統領

 

補佐官が辞任しました。貿易政策の司令塔となるロス次期商務長官

 

やライトハイザー次期USTR代表の人事案は、議会で承認されない

 

ままです。閣僚で承認されていない人が、これまでの政権ではなかった

 

6人にも上っています。また、議会の承認が必要な重要ポストは約

 

1200ありますが、閣僚を含めてトランプ大統領が議会に諮ったのは、

 

59ポストにすぎず、副長官はわずか3人しか指名されていないありさま、

 

と報じられています。メディアとの対立も相変わらずで、都合が悪いものは、

 

「偽ニュース」と批判し、一方で、事実に基づかない発言を大統領本人が

 

しています。そうした中で、ペンス副大統領やマティス国防長官、

 

ティラ―ソン国務長官などが、各国に出向いて沈静化に努めているのは、

 

救いといえるかと思います。それでも、国内の支持率は44%もあるということ

 

は、アメリカの分断された現状を表しているのでしょうか。この1ヶ月で、

 

特に心配なのは、中東和平を唐突に転換しようとしていることです。

 

これまでガラス細工のように、国際的に積み上げてきた、イスラエルと

 

将来のパレスチナ国家の「2国家共存」という基本方針を転換する姿勢を

 

イスラエルのネタニヤフ首相との会談で打ち出しました。これまで歴代の

 

アメリカ政権が堅持してきた中東和平交渉の基本方針を、取引材料にする

 

ことは、中東和平を遠のかせることになります。2国家共存は、1993年に

 

クリントン大統領が関わったオスロ合意で、パレスチナの暫定自治が決まり

 

ました。ブッシュ政権の2003年にあは、アメリカやEU(欧州連合)、ロシア、

 

国連がパレスチナ国家の樹立を後押しするロードマップを提案しましたが、

 

実現の道筋は見えていません。今回のトランプ大統領の「2国家共存に

 

こだわらない」という発言、またトランプ氏がアメリカ大使館をテルアビブから

 

エルサレムに移転しようと考えていることに、パレスチナが反発し、最悪の

 

場合は、第5次中東戦争に発展する可能性もあります。その場合は、核戦争

 

になることも考えられ、世界中に影響が出ることになります。少しでも、理性的

 

な判断ができる政権に成長してほしいと思っています。