今月25日に、NHKの新しい会長に、元経営委員の上田良一氏
(67歳)が、就任しました。籾井勝人前会長は、「政府が右という
ことを左というわけにはいかない」などと、政権寄りの姿勢を示し
続け、NHKの公平公正、不偏不党の立場に不審を抱かせ、
公共放送のトップにふさわしくない、と言われてきました。私も
OGとして、ジャーナリズムのあり方、特に公共放送としてのNHK
のあり方が問われていると考え、とても心配していました。就任時
に、理事の辞表を預かり、自分に逆らう者は許さないとでもいう
ような姿勢で、現場では萎縮している、という声も聞きましたし、
退任していく理事が、かつてない苦言を呈していくということも
聞いていました。こうした前会長の姿勢は、国会でも問題になり、
全会派の賛成で通ることが通例だったNHKの予算案が、3年連続で
反対会派が出る状態でした。新しく会長になった上田氏は、「コンセンサス
の経営をめざす」として、混乱を収拾し、NHKへの信頼を取り戻すことを
述べました。また、政治権力との距離についても「公平公正、不偏不党の
立場を貫く」「事実に基づきできる限り多くの角度から報道していきたい」
としています。是非、その姿勢を実践し、信頼を回復してもらいたいと思い
ます。経営委員から会長ということは異例ですが、それだけ現状への
危機感があったのだと思います。上田会長は、放送と通信の融合や国際
発信力の強化などに意欲を示しています。時代にふさわしい公共放送の
あり方を示してもらいたいと願っています。