先日、貧困状態にある家庭だけでなく、高所得世帯の子どもも
標準的な所得の家庭に比べて不安を感じている割合が高い、と
いう調査結果が報じられていました。日本医科大の研究チームが
まとめたものです。調査によると、高所得世帯の子どもは、学業に
ストレスを感じる傾向が高い、ということです。貧困家庭の子どもに
ストレスが多いことは理解されているが、高所得の子どもも勉強の
プレッシャーなどがあるので、見逃さないように、と。この調査は、
2007年、2010年、2013年の3年分の国民生活基礎調査に参加
した12~18歳の9491人のデータを分析して、家計と子どもの
抑うつ・不安状態との関連をまとめたものです。調査では、子どもを
世帯の所得水準によって5つの層に区切り、質問票の記入内容から
不安を抱えていると判定した子どもの割合を比較しました。所得が
真ん中の層にいる不安な子どもの割合を1とすると、最も低い貧困層
は1.6倍、最も所得が高い層は1.3倍でした。何らかのストレスを
感じている子どもは全体で41%。その原因は、人間関係や家庭の
経済状況を上げる割合が貧困層で最も高く、学業が原因としたのは、
高所得層が75%と最も高い割合だった、ということです。子どもの貧困
への対応も予算面など不十分で、様々な市民活動の中で、少しずつ
補っている状態です。一方、高所得の家庭の子どもも別のストレスを
感じている、ということは忘れがちだと思いますので、この指摘は心に
留めたいと思います。どのような家庭の子どもであっても、それぞれの
個性をいかして、いきいきと生きていける社会にしたい、と政治の世界
でも、今はひとりの市民として、できることをしてきているつもりです。
諸外国では、子ども手当など、子どもへの支援は、所得に関係なく、
すべての子どもを対象にしていますが、日本では、所得制限があり、
高所得層は別、としています。高所得の家庭では、累進課税など別の
面で負担しているので、子どもへの支援はすべての子どもに、と考えて
きましたので、高所得層の子どものストレスのニュースから、そのことを
考えました。もっとも、累進課税がゆるすぎて、税や社会保障による
再分配が機能していないことは、別の問題として改善する必要がありますが。