働き方改革を安倍政権が掲げ、いくつかの動きがあった1年でした。

 

年末になって、新入社員の過労死の責任をとって、電通の石井社長が、

 

来年1月に引責辞任をすると記者会見で明らかにしました。電通は、

 

売上高約5兆円の国内最大手の広告会社で、140を超える国・地域で

 

事業を展開する世界有数の広告会社です。電通を「日本株式会社」と

 

呼ぶ人もいるくらい、日本の企業を代表する、ということは、日本の企業の

 

働き方の典型ともいえると思います。働き方改革で、思うように成果が

 

出ない中で、政権の思惑によって、驚くほどのスピードで書類送検、という

 

見方もあり、もちろん過労死するほど働かせることは大きな罪ですが、

 

政権の意のまま、というのは、ちょっと怖い気もします。多くの企業で

 

違法な残業、サービス残業が行われているのが実態ですから、今回の

 

ことで、日本の企業は他人事ではなく、わが事として、人間らしい働き方

 

の実現に取り組んでもらいたいと思います。

 

働き方改革としては、「同一労働同一賃金」のガイドラインを、政府は今月、

 

まとめました。通勤手当、出張旅費、食事手当、慶弔休暇は、正社員と

 

非正社員の違いと認めない。基本給は、業績・成果、勤続年数などの差に

 

応じて違いを認める。賞与は、会社の業績などへの貢献に応じて、違いを

 

認める。役員手当は、責任の範囲・程度などに応じて、違いを認める、という

 

ものです。また、総務省の有識者会議は、27日に、地方自治体で働く

 

非正規公務員にも、賞与(期末手当)などの手当てを出せるよう法改正を

 

求める報告書をまとめました。総務省は、必要な法改正の検討に入る、という

 

ことです。管制ワーキングプアーの解消に、率先して取り組むべきだと思い

 

ます。非正規労働者は、若者にも増えていて、労働者全体の4割に上って

 

います。パート労働者の時給は、ヨーロッパではフルタイムの7~8割なのに

 

日本は6割弱、といわれています。特に、女性は半数以上が、非正規で働いて

 

いて、男性正社員の4割余りの時給しか支払われていません。シングルマザー

 

が増えたことが、子どもの貧困の増につながっていることの、大きな要因となって

 

いる賃金格差でもあります。アベノミクスを加速するというのであれば、労働者を

 

大切にしない成長戦略は、あり得ません。本気で、同一労働同一賃金などの働き方

 

改革に取り組むのであれば、心から応援したいと思います。アドバルーンを上げる

 

だけの人気取りに終わらないよう、来年も注目していきたと思っています。