19日午後8時(日本時間20日午前4時)頃、ドイツのベルリン
中心部で、大型トラックが、買い物客でにぎわうクリスマス市(いち)
に突っ込み、少なくとも12人が死亡し、49人が重軽症を負いました。
警察当局が、現場近くで事件後に逃走した男を逮捕し、男はドイツに
難民申請者として入国していた、と報じられています。メルケル首相は、
シリアなどからの難民に国境を開放し、これまでに100万人超を受け
入れています。これに対して、難民排斥を訴える新興の右派政党などが、
反対し、この流れが加速される可能性があります。ドイツでは、来年、
総選挙があり、4選を懸けるメルケル首相にとって、危機感が募る事件
といえます。アメリカのトランプ次期大統領に加え、来年選挙が行われる
ドイツをはじめ、フランス、ベルギーなどでも、内向きの右派政党が勢力
を伸ばしていて、今回のテロで、その懸念がさらに高まっていると感じ
ます。
一方、トルコの首都アンカラで、19日夜(日本時間20日未明)、トルコ駐在
のロシア大使が、警察官の男に銃で撃たれて、死亡しました。男は、「アラー
・アクバル(神は偉大なり)」とアラビア語で、トルコ語で「アレッポを忘れるな。
シリアを忘れるな。」と発表後に叫んでいて、シリア内線が動機と見て調べて
いる、ということです。独裁者ともいわれるアサド大統領を支援するロシアが
シリア情勢の主導権をほぼ手中に収め、反体制派を支えてきたトルコが
ロシアに歩み寄り始めた中での射殺事件です。アレッポ制圧を実現させた
ロシアは、今後は立てこもる反体制派を包囲するため、隣接するトルコの
協力を必要としています。両国の思惑が錯綜する中での大使射殺事件、
犯人の男の背後関係は、まだ不明確で、平和に向けた動きに水をささない
よう願っています。