天皇陛下の退位を巡る有識者会議の第5回会合が、昨日30日
専門家の意見聴取の3回目の会合を開き、合わせて16人の
専門家の聞き取りを終えました。退位について、9人が条件付き
も含む容認・賛成で、7人が慎重・反対だった、と報じられています。
報道の仕方が、メディアによって違い、賛成8人、反対5人、という
報道もあります。容認、慎重を、どう数えるかで違うのかと思います。
退位を一代限りとする特別法については、容認派のうち5人が支持
した、ということです。専門家からは、公務のあり方など8項目に
ついて聴取しました。主な論点は、退位を認めるべきか、認める場合
に今の天皇陛下に限ってか恒久的にかの2点です。退位反対の人
から、「いてくださるだけでありがたい存在だ」「宮中で国と国民のため
に祈ってくだされば十分」という意見が出たのは、新しい憲法のもと
で、天皇のあり方を模索し、様々な実践をされてきた天皇陛下の思い
に沿っていない、と思います。また、天皇陛下が、ビデオメッセージを
公表される約20日前の7月に、学友に、退位について恒久制度を望む
思いを「将来を含めて譲位(退位)が可能な制度にしてほしい」と語られ、
「摂政という制度には賛成しない」と明言され、その理由として「(大正
天皇派と昭和天皇派の)2派ができ、意見の対立があったと聞いている」
と述べられたことも、報じられています。ビデオメッセージでは、憲法上、
天皇の発言の政治利用は禁じられているので、はっきりは述べられなかった
ことを、学友に伝えられたのだと思います。有識者会議の座長代理の
御厨東大名誉教授が、国民の意見も聞きながら、これから取りまとめる
と述べていました。その通りで、報道各社の世論調査では、退位を8割位の
国民が認めていて、特例法を支持するのは2割、皇室典範の改正が6~7
割となっています。象徴天皇の地位は「国民の総意」に基づく、と憲法に
定められているので、専門家の意見が分かれている中で、国民の代表である
国会での十分な審議など、国民の意見が反映されることを望みます。