福島第一原発事故で、福島県から横浜市に自主避難した、中学
1年の男子生徒(13歳)が、いじめを受けて不登校になった問題で、
一昨日15日、男子生徒の代理人の弁護士が、生徒の手記を
公表し、大きなニュースになっています。この手記は、小学6年生
だった、昨年夏に書かれたもの、ということです。いじめで亡くなる
子どもが相次いでいるため、いじめがなくなってほしい、多くの子ども
たちに少しでも励みになれば、と生徒自身が公開を決めたそうです。
その手記には、「ばいきんあつかいされて、ほうしゃのうだとおもって
いつもつらかった。福島の人はいじめられるとおもった。なにもていこう
できなかった。」「ばいしょう金があるだろと言われ、むかつくし、ていこう
できなかったのもくやしい」「(加害側の)3人から、お金をもってこいと
言われた」「いままでいろんなはなしをしてきたけど(学校は)しんようして
くれなかった」「なんかいもせんせいに言(お)うとするとむしされた」
「いままでなんかいも死のうとおもった。でもしんさいでいっぱい死んだから、
つらいけどぼくはいきるときめた」などとあります。読んでいて、胸がつまる
思いがします。それでも彼が、辛くても死を選ばずに、生きると決めた、と
強い心を持ってくれたことに救われます。現在は、フリースクールに行っている
とのこと。それにしても、学校側は、男子生徒が2014年5月に、加害児童たち
と金品のはりとりがあったことを把握していたのに、いじめ防止対策推進法に
基づく「重大事態」とは判断しませんでした。そして、保護者が2015年12月に
市の教育委員会に調査を申し入れ、市教育委員会は、今年1月になって、
第三者委員会を立ち上げました。昨日16日、横浜市の林文子市長は、会見で、
学校側の対応が遅れた原因を調査するよう市教育委員会に指示したことを
明らかにしています。いくら法律を作っても、現場の感度が鈍ければ、その枠組み
で救われることは、ありません。原因をしっかり究明して、二度とないようにして
ほしいと思います。また、賠償金があるから、お金を持ってこいと、全員の遊興費
などを1回5万~10万円も、持ってこさせていた、ということです。これは、大人が、
そういう話をしているから、子どもにも影響したと思われます。原発事故の被害に
あい、住み慣れた地域に住めなくなって、避難先でいじめにあっているのは、この
少年だけではないと思います。もっと、周囲が、やさしい気遣いをしていく必要を
感じます。そして、生きることを決意した、この少年に、希望ある未来が開ける
ことを祈っています。