全国の国公私立の小中高校、特別支援学校が、2015年度に把握

 

したいじめは、22万4540件で、前年度から3万6468件増えて、

 

過去最高となったことが、昨日27日、文部科学省の問題行動調査で

 

わかりました。文部科学省では、件数の増加は、積極的な把握に

 

努めた結果だと捉える方針が浸透したため、と分析している、という

 

ことです。いじめにあって不登校になっている小中学生のうち、1年で

 

計90日以上欠席したのは、全体の6割弱を占めることがわかり、

 

千人あたりの不登校の人数は12.6人で、1991年度以降、最多

 

でした。家庭の状況や友人関係による不安などが、原因に挙がって

 

います。児童生徒が、心身に大きな被害を受けるなど、いじめ防止対策

 

推進法で規定されている「重大事態」は298校で313件でした。自殺した

 

児童生徒で、いじめがあったのは9人でした。

 

一方、いじめを防ぐ対策を議論してきた文部科学省の有識者会議は、

 

24日に、教職員の業務の中で「自殺予防、いじめへの対応を最優先の

 

事項に位置づける」などの提言案をまとめました。いじめを小さな段階で

 

幅広く把握するために、いじめの認知件数が少ない都道府県には、同省が

 

指導することも求めています。2013年施行の「いじめ防止対策推進法」に

 

基づいて、学校に常設が義務付けられていた「いじめ対策組織」で、いじめ

 

の情報が共有されず、自殺など重大な結果を招いている、と有識者会議は、

 

これまでも指摘してきています。提言案では、学校内での情報共有を義務と

 

したうえで、いじめなどへの対応を最優先としています。教職員の負担を

 

減らすために、生徒指導の専任教員を置いたり、部活動の休養日を設けたり

 

することも求めています。いじめ防止対策推進法では、子どもが「心身の苦痛

 

を感じているもの」をすべていじめと定義していますが、文部科学省の調査では、

 

昨年度は、最多の京都府と最少の佐賀県の間に、約30倍の開きがあった、と

 

いうことです。この法律は、施行3年になる、超党派の議員立法で、法改正への

 

動きも、と報じられています。まずは、いじめの実態をしっかり把握し、情報を

 

共有して、その子を守る態勢を整える必要があります。国会で、いじめの議論も

 

かなりしましたが、学校が閉じられた世界であると、いじめを防げない、もっと外に

 

開いて、専門家の知恵なども借りていくことが大切、と話し合ったことを思い出し

 

ます。大切な子どものいのちを守るために、法律も十分に活用しながら、すべての

 

都道府県で取り組んでほしいと思います。