天皇陛下が、生前退位の意向などを話されて、国民の8割以上が、陛下の


ご意向を尊重したい、としている中、政府や各党で動きがあります。政府は、


「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」の初会合を開き、生前退位


の具体的な議論に着手しました。ところが、メンバーは、安部総理など政府に


近い人ばかりで、政府の陛下一代に限って退位を認める特別措置法を来年の


通常国会に提出することを目指している政府の意向に沿った結論ありきでは


ないか、といわれています。憲法や皇室制度の専門家をはずした意図も、


わかりません。政府は、水面下で、特例法を正当化するための理論武装を


進めている、とも報じられています。生前退位を考える上で、最も重要なのは、


憲法との整合性です。1条に、象徴天皇の地位が「日本国民の総意に基づく」


と規定されています。2条は、「皇位は・・・皇室典範の定めるところにより継承


する」としています。9月末の衆議院予算委員会で、内閣法制局の横畠長官は、


「皇室典範は、特例、特則を定める別法も含みうる」と説明し、特例法で皇位継承


が可能になる、という見解を初めて示し、政府の理論武装を手伝っている感じです。


天皇陛下一代の特例法では、陛下が末長く皇室が続くために、とされたご意向に


沿わないと思います。世論調査でも、陛下だけ一代については17%の支持に


とどまり、今後すべての天皇も退位できようにするのがよいと76%の人が考えて


いて、そのためには皇室典範の改正が必要です。民進党の野田幹事長は、


皇位検討委員会を党内に設置し、皇室典範の改正案を党独自にまとめて、


来年の通常国会への提出を検討する考えを明らかにしています。共産党の


穀田国対委員長も、特別措置法などでやる話ではない、としています。政府提出


の法案ではなく、超党派の議員立法とする案も、政権内でも浮上している、とも


伝えられています。とにかく、天皇陛下のご意向を尊重していという国民の声に


しっかり応えるためにも、正面から皇室典範を改正するべきだと考えます。