働きすぎの日本人を象徴する過労死は、ローマ字のKAROUSHIとして、国際的
にも知られています。私も議員の頃から、過労死防止の法律づくりに超党派で
取り組んでいましたが、在任中には法律は作れず、その後作られた「過労死等
防止対策推進法」が、2014年に施行されました。過労死をとりまく状況の報告書
を毎年つくるよう、この法律で定められています。厚生労働省は、昨日7日、
過労死の実態や防止策の実施状況などを報告する「過労死等防止対策白書」
を初めてまとめました。それによると、2015年度に過労死で労災認定された人
は96人、過労自殺(未遂を含む)による労災認定は93人です。過労死による
労災認定は、2002年度に160人にのぼりましたが、14年ぶりに100人を割った、
と報じられています。しかし、過労死・過労自殺の認定件数は、200件前後で
推移しています。そして、認定されるには、高いハードルがあり、過労死や過労自殺
と認定されているのは、実際に死亡した人の、氷山の一角といえると思います。
白書に盛り込まれている、企業約1万社を対象にした調査では、1ヶ月の残業が、
「過労死ライン」を超えた企業は22.7%あり、情報通信業、学術研究や専門・技術
サービス業では、4割を超えた、ということです。そうした中で、広告大手の電通に
勤務していた女性新入社員(当時24歳)が、昨年末に自殺したのは、長時間の
過重労働が原因だったとして、労災が認められた、と報じられています。労基署が
認定した、その社員の1ヶ月の時間外労働は、約105時間に上っています。
超少子高齢社会で、毎年、労働力人口が1%ずつ減っている日本で、労働者を大切
にしなければ、経済成長もこれからの日本の社会保障などの安心も作り出せない
ことは明白です。その中で、働き方改革の旗じるしのもと、政府は、また残業代ゼロ
の過労死法案ともいわれた、ホワイトカラーエグゼンプションの名前を変えて、改革
の法案のひとつとして、国会に提出しようとしていることに、強い懸念を持ちます。