福島第一原発の汚染水対策として、経産省資源エネルギー庁と東京電力は、


凍土壁(遮水壁)を柱にしてきましたが、これまでも、いっこうに成果が上がらない、


といわれていました。そして、台風10号による大雨の影響で、「凍土遮水壁」の


2ヶ所で温度が上昇し、凍土壁が融けたような状態になった、と昨日1日、東京


電力は発表しました。それによって、凍土壁で遮蔽された下流のエリアの地下


水位が、凍土壁を抜けて流れこみ、台風10号による降水量以上に、上昇して


いたことがわかった、と報じられています。ポンプで740トンの地下水をくみ


あげたにもかかわらず、降水量を超える水位の上昇があった、ということです。


東電の担当者は、あと150ミリ降っていたら、地表面を超えていたかもしれない、


と話しています。地下水が地表まであふれ出ると、側溝などを通じて、海に流れ


出す恐れもありました。東電によると、3月末に凍結を始めて凍土壁は、温度


計測点の99%で0度以下になった、としていますが、地下水の流れを遮るまで


には至っていません。東電は、追加工事で、凍土壁の周辺に8メートル程度の


穴を掘り、地下で固まる液体を流し込んで、地下水の流れを緩やかにする。9月中


には追加工事を終える、としていますが、費用が、またかかることは間違いありません。


原子力規制委員会の検討会で、外部有識者から、計画は破たんしている、と指摘


されている、とも報じられています。すでに、国の事業として建設に345億円が


投じられた上に、日々の冷却にもお金がかかっています。目算がないまま


人や資金を投じ、時間を費やすことは、認められないと思います。国内で初の


大規模な凍土壁を築く試みを、当初からの異論をおさえて、資源エネルギー庁と


東電は、進めてきました。汚染水を減らすための凍土壁なのに、汚染水は減って


いない、ということもあり、一度やりだしたから、ということではなく、安全のために


真に役立つ仕組みを、改めて考えるきっかけに、今回の大雨による地下水位上昇


は、なると思います。