政府は、24日、安全保障関連法に基づく自衛隊活動の訓練を、順次実施する、
と正式に発表しました。稲田防衛大臣は、記者会見で、安保関連法施行に伴って
拡大した自衛隊活動のほぼすべての新任務を巡って、訓練に着手する、と表明
しました。昨年9月に安保法が成立し、今年3月の法施行を経て、運用されるように
なります。参院選での反発を避けるために、終わってから運用、というのは姑息な
やり方だと思いますが。国内訓練やアメリカなどとの共同訓練が順次始まり、
運用段階へ本格的に移行します。戦後ずっと認めてこなかった集団的自衛権も
行使されるようになります。南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に新たに派遣
する陸上自衛隊部隊には、昨日25日から訓練が開始され、9月中旬意向に
見込まれている「駆けつけ警護」などの実動訓練へ準備を本格化させる、と報じ
られています。また、他国軍とともに宿営地を共同で警護する「宿営地の共同警護」
なども該当します。いずれも、武器使用基準を緩和して可能になりました。南スーダン
では、7月に首都ジュバで大規模な戦闘が起き、多数の市民が巻き添えになり、
国連のPKO隊員が2人死亡しています。現地情勢は安定していないという見方も
ある中で、自衛官のリスクが高くなる可能性があります。防衛省幹部も、新たな任務
に伴うリスクが隊員に生じる可能性はある、と話しているとのこと。自衛隊のあり方が、
これまでとは、大きく変わります。法成立後、国民に理解されるよう努力するといって
いたのに、参院選では全く触れず、説明がないままの施行になります。集団的自衛権
の行使を可能にした安保法は違憲だということで、各地で違憲訴訟が起こされています。
その他にも、日本を守るために、なぜ個別的自衛権だけでなく、集団的自衛権が必要
なのか。また、海外での武器使用が日本への敵意を生むのではないか。紛争地を知る
専門家からも、駆けつけ警護などに懸念の声があがっています。駆けつけ警護などの
際に、誤って民間人を殺傷してしまった場合、処罰の手続きや国としての責任をどう負う
のかなどが明確になっていない、と指摘されています。海外で、道路や橋の建設等で
感謝され、保健や教育などのNGO市民のみなさんの活動によって、日本は身近で尊敬
される国になっているのに、駆けつけ警護などで武器を使用することで、そうした活動が
しにくくなる、など多くの課題を抱えたまま、それに対する説明もないままの法の施行に
は、大きな危惧をもちます。