四国電力は、昨日12日、伊方原発3号機(愛媛県)を再稼働させました。
東京電力福島第1原発事故後に策定された原子力規制委員会の新規制基準
に適合した原発としては、九州電力川内1,2号機(鹿児島県)、関西電力
高浜3,4号機(福井県)について5基目になります。このうち高浜は、司法
判断で運転差し止め中のため、稼働している原発は3基になります。四国で
唯一の原発である伊方原発3号機は、約5年3ヶ月ぶりに動き出しましたが、
事故が起こった時に、住民が混乱なく避難できるのか、近くを走る大規模な
活断層、南海トラフ巨大地震は大丈夫かなど、見方が分かれる中での
再稼働は、見切り発車といえます。国や愛媛県がまとめた原発事故時の
住民避難計画は、南海トラフ巨大地震の被害を前提としていず、対策が
不十分です。また、繰り返し強い地震が起きた、熊本地震の教訓も生かして
いません。そして、伊方原発は、東西に細長い佐田岬半島の付け根にあり、
原発西側の予防避難エリアには、約4700人が暮らしています。陸路避難では、
原発の前を通り、住民の抵抗感が強く、渋滞も懸念される、と報じられています。
道路での避難が難しい場合は、大分県側などへ船舶で海路避難することに
なっていますが、荒天や津波への懸念もあります。放射線防護対策を施した
施設が、伊方町内に7ヶ所ありますが、そのうち4ヶ所は土砂災害警戒区域に
あります。県の避難計画を、原子力防災会議は、昨年10月、実効的と了承
し、県は同月再稼働に同意していますが、計画を検証する国の防災訓練が
実施されたのは、その後で、再稼働ありきだったと言われています。世耕
経済産業大臣は、「プルサーマルの推進、核燃料サイクルの推進という観点
からも非常に意義がある」と、使用済み燃料から取り出したプルトニウムを再び
燃料として使うプルサーマル発電をする伊方原発3号機の運転開始を歓迎する
談話を出しています。しかし、伊方原発1基で使うプルトニウムは、年0.1トン
程度で、行き詰まる核燃料サイクル全体にとっては、焼け石に水、と見られて
います。とにかく、福島原発事故がなかったかのように、住民の避難などの安全
対策は後回しにして、次々と原発を再稼働させることには、強い危惧を持ち、
もっと世論が強く反対をしていくには、どうしたらよいかと思っています。