バングラデシュでのテロで犠牲になった、7人の日本人の方の、国際貢献の
活動や思いを、新聞やテレビで見て、こういう方たちが亡くなったことへの
無念さと憤りを、更に強くしています。こうしたテロに対しては、治安の維持に
努めることは、もちろん大切ですが、いつも言うように、目先のことだけではなく、
どうして、若い人たちが、そうした行動に走るのか、格差や貧困の問題に、
中長期的に、国際社会全体として取り組むことが必要だと思います。そして、
こうした分野は、日本が貢献できる分野だと考えます。今回テロを起こした
のは、バングラデシュの比較的裕福な家庭の出身で、高等教育も受けていた
若者たちだということです。その若者たちが、ラマダン(断食月)明けに、世界
各地でテロを起こすように呼びかけたIS(イスラム国)の呼びかけに応えた
可能性もあります。ISのバングラデシュ支部が、犯行声明を出していますが、
バングラデシュ政府は、国内にISはいないとして、過激派組織ジャマトゥル・
ムジャヒディン・バングラデシュなどのメンバーだとしています。首都ダッカの
アメリカ大使館は、昨年9月に、武装勢力がバングラデシュでテロを計画して
いるとの情報がある、と発表し、今年2月にも、アメリカ国務省が、ISや
アルカイダ系の組織によるテロの脅威は、現実的で信憑性が高い、と指摘し、
渡航注意を発していた、と報じられています。ハシナ首相は、それでも、「国内
にISは存在しない」1との一点張りで、ISが犯行声明を出した外国人殺害事件
についても、野党支持勢力による犯行との見方を崩さなかった、ということで、
そうした姿勢が、テロの防止策を鈍らせていた、という指摘もあります。最近は、
その国で生まれ育った若者が、ネットでISに感化されたり、ISの下で訓練を
受けたりしています。国際社会として、各国は情報を共有して、資金や武器の
入手を断つなど、テロ防止に力を合わせる必要があります。穏健なイスラム
教徒が9割を占めバングラデシュでの事件は、アジアの国にも脅威が広がって
きたことを示していて、次はインドも危ないと言われています。これからの
各国の結束した対応を願っています。