史上最大の原発事故、1986年4月26日の旧ソ連ウクライナのチェルノブイリ


原発4号機が試験運転中に爆発し、ベラルーシ、ロシア、欧州など広範囲が


放射性物質で汚染され、数十人が急性放射線障害で死亡、約33万人が移住


させられた事故から、30年が経ちました。原発周辺では、甲状腺がんの増加が


指摘され、国際機関などは、がんなどによる死者を4千~9千人と推定している、


と報じられています。政府主催の追悼式典で、ポロシェンコ大統領は「最終解決


にはほど遠い」と述べ、国際社会に支援への謝意を表すとともに、協力の継続を


呼びかけました。爆発した4号機は、核燃料を取り出すこともできず、コンクリート


の石棺で覆われましたが、それも老朽化して、巨大な新シェルターで石棺ごと


覆う工事が進んでいる、とのこと。原発事故の過酷さについて、チェルノブイリは、


教訓を示しましたが、25年経った5年前には、福島第一原発事故が起きています。


原発の近隣地域で放射能に汚染された飲食物の摂取と出荷を早期に禁じたことは、


チェルノブイリの反省があったからだと思います。当時、厚生労働副大臣として、


部屋に大きな地図を張り、どこのどの農産物が出荷禁止になっている等を毎日


チェックしていたことを思い出します。事故を正面から受け止めたイタリアは、事故


の1年半後に国民投票を行って、当時国内に4基あった原発の廃止を決めています。


日本では、政府や電力会社が、「チェルノブイリと国内の原発は構造が違い、同様の


事故は起こらない」と繰り返し、教訓とすることはなかったとも報じられています。


この「安全神話」が、福島第一原発事故の要因のひとつだったことは明らかです。


事故処理には、最長40年かかると見込まれています。チェルノブイリと福島の事故は、


原発で一度事故が起きると、いかに恐ろしいかを示しています。ウクライナも日本も


原発を維持していますが、イタリアで、地震国に原発は危険、脱原発は正しかったと


語られていることを、しっかり受け止める必要があると思います。