主要7ヶ国(G7)外相会合が、広島で、10日11日の2日間開かれました。
アメリカのケリー国務長官をはじめ、核保有国のイギリス、フランスの現職
外務大臣が、平和記念公園を訪れ、原爆慰霊碑に献花したのは、被ばく
から70年を経て、初めてのことです。広島出身の岸田外務大臣は、「核兵器
の脅威を終わらせるという責務だけでなく、戦争を避けるためにあらゆる努力
をすべきだということを改めて厳しく思い起こさせてくれる」と、献花の前に
訪れた原爆資料館で記帳し、「核兵器なき世界に向けた国際的機運を再び
盛り上げる歴史的一歩になった」と会見で述べています。ケリー国務長官は、
会見で「すべての人が広島を訪れるべきだ」と語り、オバマ大統領が広島を
訪問することに前向きな姿勢を示した、と報じられています。オバマ大統領は、
5月のG7首脳会議(伊勢志摩サミット)に合わせて、広島訪問の検討を始めた
ということです。しかし、アメリカ国内では、原爆投下は戦争を終わらせるために
やむを得なかったという考えも強く、共和党から非難されることも考慮して、
ケリー国務長官の広島訪問の受け止めを見守っている、ということです。
せっかく2009年に、オバマ大統領は、「核兵器のない世界」を掲げたのです
から、批判は覚悟してでも、広島を訪れてほしいと思います。原爆投下で広島・
長崎は「極めて甚大な壊滅と非人間的な苦難という結末を経験した」等を、G7
外相会合は、「広島宣言」で発表しています。しかし、日本は、戦争被爆国として
従来主張してきた「核兵器の非人道性」という表現は、合意を得るために封印した、
と伝えられています。宣言は、核保有国も容認できる程度に骨抜きされた、という
見方もあります。それでも、初めての核保有国の外相たちの広島訪問は、岸田
大臣の言うように、歴史的一歩であってほしいと思います。広島宣言では、
この他、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効を、G7以外の核保有国に
核兵器の透明性を求める、政治指導者などの広島・長崎訪問を希望、等が
盛り込まれています。