オバマ大統領が主導した、核保安サミットが、1日、核テロの脅威に対して
国際社会が連携を強化する共同宣言を採択して、閉幕しました。7年前に、
オバマ大統領は、「核兵器のない世界」を提唱しましたが、サミット後の会見
では、「多くの仕事をやり残した」と語ったと報じられています。オバマ大統領は、
就任後の2009年に、プラハで、核軍縮と核の不拡散を進めることを宣言しました。
その年に、ノーベル平和賞を受賞して、米ロが協調して、核軍縮が進むことが
期待されました。任期最後のサミットで、オバマ大領領は、「米ロの核兵器は、この
60年で最も少なくなった」と評価もしています。昨年夏には、イランの核開発を
大幅に縮小する最終合意にも達しました。しかし、ロシアとの核兵器削減をさらに
進める交渉や、北朝鮮の核問題への対応など、やり残した仕事が多いことも
わかっている、としています。2014年時点の世界の核弾頭は廃棄待ちの分を
除いて、1万発弱もある、とのこと。まだまだ道は遠いという感じがします。今回の
ワシントンでの核保安サミットには、50ヶ国以上の首脳などが集まり、オバマ
大統領が提起した、核のない世界を目指す活動は、一定の広がりをもっている
ことをうかがわせます。大統領が変わっても、引き続き活動してほしいと思います
が、形が変わってしまうようです。また、最近では、過激派組織IS(イスラム国)に
よる核テロの脅威が現実のものになってきています。非公開の会合では、想定
される核テロのシナリオを解説したビデオを上映するなど、核物質の管理や情報
共有の重要さを訴えた、とのこと。今後のかじ取りは、国連や国際原子力機構
(IAEA)など5つの機関・組織が、それぞれの担当分野ごとに受け継ぐと報じられて
います。やはり強いリーダーシップがないと、活動が縮小してしまうのではないかと
懸念します。