高市早苗総務大臣が、放送法4条違反を理由に、テレビ局へ「停波」を命じる


可能性に言及したことは、重大な問題なので、その後も、様々な動きがあります。


2月29日には、テレビ朝日「朝まで生テレビ!」司会の田原総一郎さん、TBS


テレビ「NEWS23」アンカーの岸井成格(しげただ)さん、鳥越俊太郎さんなど


ジャーナリスト6人が、東京都内で会見を開き、「私たちは怒っている」と題する


声明を発表しました。その要旨は、「高市総務相の「電波停止」発言は憲法及び


放送法の精神に反している。私たちは一連の発言に驚き、そして怒っている。


放送局の電波は、国民のものであって、所管する省庁のものではない。現在の


テレビ報道を取り巻く環境が著しく「息苦しさ」を増していないか。「外から」の


放送への介入・干渉によってもたらされた「息苦しさ」ならば跳ね返すこともできよう。


だが、自主規制、忖度(そんたく)、萎縮が放送現場の「内部から」拡がることに


なっては、危機は一層深刻になる。私たちが、今日ここに集い、意思表示をする


理由の強い一端もそこにある。」というものです。私もジャーナリストの一人として、


この声明を、心から支持します。このジャーナリストからの批判にたいして、高市


大臣は、「色々な意見があるのだなあと感じさせて頂いた」と衆議院総務委員会で


他人事のように、答弁しています。


また、3月2日には、憲法学者などが、都内で会見して、「政治的公平」などを


定めた放送法4条を根拠に処分を行うことは、憲法違反にあたるとする見解を


発表しました。会見をしたのは、樋口陽一東大名誉教授(憲法)、西谷修立教大


特任教授(哲学)など6人の法学や政治学などの専門家でつくる「立憲デモクラシー


の会」の会員です。見解では、「総務大臣に指揮命令される形で放送内容への


介入が行われれば、放送事業者の表現活動が過度に委縮しかねず、権限乱用の


リスクも大きい」としています。また、漠然として放送法4条の文言だけを根拠に


処分することは「違憲との判断は免れない」と指摘しています。


放送への圧力ともいえる、安部政権の動きには、心配と怒りをおぼえます。国民の


知る権利という、民主主義の根幹となるものへの、正しい判断ができていないとしか


思えません。政府が、電波停止の可能性に言及することによって、放送局を脅す


ことは、あってはならないことです。放送の自律を守るためには、第三者機関を作る


ことなどの検討も必要かと思います。