安部総理が、憲法改正について、どんどんアクセルを踏み込んでいるようで、


危惧しています。安部総理は、一昨日2日、参議院予算委員会で、改憲への


意欲を表明しました。夏の参院選で、改憲案の国会発議に必要な3分の2以上


の勢力の確保を狙っています。他党の理解が得やすい条項から変えて、戦力


不保持を定めた9条2項の改正という、2段階の戦略を描いている、といわれて


います。参院選に合わせて衆院選を実施する同日選論も絡んで、与野党で、


様々な思惑が交錯しています。2日の参院予算委員会では、安部総理は、


憲法改正について、「私の在任中に成し遂げたいと考えている」と、強い意欲を


示しました。それなのに、自民党の憲法改正案についての質問には、憲法


審査会でわが党の議員とやりとりしてほしい、として、具体的な改正項目などに


ついては、明言を避けています。総理の在任中に実現するには、参院選から


2年後の18年夏までに発議をするか、総理の総裁任期延長や3選を認める


ような党則改正が必要になる、と報じられています。また、国民投票は、国民


への周知や自治体の準備などのため、国会発議から60~180の期間を置く


ことが、国民投票法で定められています。政府は、国民を守るために集団的


自衛権を限定的に認める、と安保法について説明してきました。ところが、衆院


予算委員会で、安部総理は、改憲によって集団的自衛権の行使を全面的に


認める必要性に言及しています。限定容認した安保関連法が、まだ施行も


されていないのに、全面容認に言及していることに、大きな危惧を持ちます。


自民党草案では、戦争放棄を残す一方、「自衛権の発動を妨げるものでは


ない」と明記し、国防軍の保持を打ち出しています。集団的自衛権も憲法の


制約なしに、行使できることになります。歴代の政権が、集団的自衛権について、


憲法上、行使できない、としてきました。安保法の施行によって、自衛隊は、


ますます憲法から離れた存在になってしまい、現実に合わせて改憲しようという


主張が勢いづくことになりかねない、とも指摘されています。安部総理は、憲法の


どこをどう変えるかについては、答えずに、やりやすいところから、とにかく憲法を


改正したい、と考えているようです。憲法は、国民の権利を守るために、権力に


制約を課しているのに、それを理解しようとしない総理が、自分の思い通りに


とにかく改憲を任期中にしたい、ということを、どう判断するのかが問われる


参院選になりそうです。