自衛隊の情報保全隊による市民集会の監視に対して、違法性を認める判断


が、重ねて示されました。仙台高裁は、2月2日、情報収集活動の一部を違法


と結論づけ、活動に一定の歯止めをかける内容、と受け止められています。


自衛隊のイラク派遣に反対する市民の抗議活動などを、自衛隊が監視していた


ことが、2007年に発覚し、東北6県の住民が、国に関し差し止めと1人あたり


100万円の損害賠償を求めていた訴訟の控訴審判決です。1審判決は、原告


107人のうち、氏名や職業、思想信条に直結する所属政党などの情報を収集


された5人は、人格権を侵害されたとして、計30万円を賠償するよう国に命じ


ました。控訴審判決では、男性1人についてプライバシーを侵害し違法だと認め、


10万円を賠償するよう国に命じ、差し止め請求は却下しました。1審判決が


賠償を命じた5人のうち、地方議員だった4人の請求を退けました。また、自衛隊


による情報収集自体は、直接的対応を迫るような反対運動がある場合は必要性


がある、と指摘しました。監視をしていたのは、情報保全隊という組織で、約1千人


を抱えています。自衛隊からの情報流出や隊員への働きかけ、業務・施設への


妨害などを防ぐために情報を集めるのが役割、ということです。保全隊の報告書は、


保存期間を1年未満としているケースがあり、情報公開の網にもかかりにくくなって


いて、外部の目が入らず、活動の妥当性を検証することが極めて難しい、と指摘


されています。特定秘密保護法によって、防衛分野は、幅広く特定秘密に指定する


ことが可能になり、自衛隊の活動がブラックボックスになりかねない、とも言われて


います。中谷防衛大臣は、「判決内容を精査し、適切に対応したい」と記者会見で


述べています。今後、安全保障関連法に基づいて、自衛隊が海外に派遣されること


になれば、各地で反対運動が起きることが予想されます。その際にも、国民への


監視が繰り返されるという不安を感じます。監視によって、恐怖感を覚えたり、萎縮


したりすることがないよう、情報収集のルールをはっきりし、国民に説明してもらいたい


と思います。また、特定秘密には、不十分ではあっても、政府による指定が適切かを


チェックする国会の監視機関が、あります。保全隊の活動についても、そうした歯止めを


かえkるために、国会などによって、チェック機能が果たされる必要があります。国の


方針に反対する人が、知らない間に監視されている、という世の中には、すべきでない


と思います。