安倍政権は、東京への一極集中を是正し、地方を活性化するために、政府


機関である省庁の地方移転を打ち出しています。今年3月に、とりまとめる


ために、政府内での議論が大詰めを迎えている、と報じられています。各地


からの提案では、69機関の移転の要望がありました。長野県も、特許庁など


の提案をしています。そのうちから39機関を移転候補に絞り込んでいるそうです。


省庁の反発が強く、実現しても、組織全部ではなく、一部の機能の移転にとどまる


見通しと報じているところもあります。今のところ、京都府に文化庁、徳島県に


消費者庁を移転することを明記する方向とされています。これを見ると、抵抗が


少なく、動かしやすいところだけを動かすのでは、と思われます。そうではなくて、


東京への一極集中是正のため、そして地方の活性化のためという目標と、その


省庁を移転した場合、国民にとってよい方向になるのか等を、総合的に


考えた上で、体系的に移転する必要があると思います。特に、消費者庁は、


各省庁の縦割りの中で、谷間に落ちてしまい対応されていない消費者被害、


例えば、シンドラーのエレベーター事故、パロマの湯沸かし器の事故、こんにゃく


ゼリーの事故等を解決するために、消費者の立場に立って取り組む組織として、


新しく作られたものです。それを作る時に、消費者特別委員会で、私も関わり、


各党が熟議を重ねた上で、また不十分な点はありますが、何とかスタートさせた


ものです。徳島県が、消費者行政に先駆的に取り組んできたことは理解しますが、


法律上は他の省庁に被害防止措置を要求できる権限を持つようにしましたが、


行使した例は、まだありません。他省庁との交渉が多い消費者庁を地方に動かして、


ほんとうに高速ネット回線があるから大丈夫、と言い切れるのでしょうか。その


環境が、すべての省庁に整っているとは思えません。3月にも、消費者庁長官などを


徳島県に1週間程度派遣すると、河野太郎大臣はしていますが、課題をよく検証し、


多くの意見を聞いて、慎重に判断してほしいと思います。消費者庁の移転には、


消費者団体や日本弁護士連合会も反対を表明しています。地方に移転することで、


まだまだ不十分な消費者庁の権限、存在感が、さらに弱まることは避けてほしいと


思います。