政府は、昨日18日、総額3兆3213億円にのぼる、2015年度補正予算案
を閣議決定しました。「1億総活躍社会」の実現に向けた介護や子育て支援、
TPP(環太平洋経済連携協定)の発効に備えての農業支援などが、盛り込ま
れています。その中で、約3割にあたる3624億円が計上されているのが、
低所得の高齢者に3万円を配る臨時福祉給付金です。65歳以上で住民税
が非課税の約1100万人が対象です。来年4月以降に、単身世帯で年収が
155万円程度以下の人に加えて、保険料を払った期間が短いため、年金が
もらえない無年金の人にも配られる、ということです。加藤一億総活躍担当大臣
は、アベノミクスによる賃上げの恩恵が高齢者には届いていないので、消費の
喚起を図る観点から、所得の低い高齢者層に焦点を当てることが効果的だ、
と話しています。しかし、2009年に、全国民を対象に、1人あたり1万2千円
(子どもと高齢者は2万円)の定額給付金を配りましたが、その後の内閣府の
調査では、配ったお金の25%しか消費は増えず、貯蓄などに回った、という
実態がありますので、効果的とは言えないと思います。また、来年夏の参院選
前後に現金を配る、ということは、実態は選挙対策と思われます。自民党内でも
アベノミクスを高齢者が支えているわけでない等の批判がでているということ
です。投票率が高く、比較的保守層が多い、高齢者の票を買うような政策は
許されないと思います。現在、社会を支えている若い層の人達のうち4割を
占める非正規雇用の人には、アベノミクスの恩恵は及んでいません。子どもの
貧困が6人に1人という現状もあります。もっとバランスのとれた政策が望まれ
ます。