注目されていた、民法の女性の再婚禁止期間と夫婦同姓が憲法違反かどうか


の判断が、今日、最高裁大法廷(裁判長:寺田逸郎長官)でありました。「結婚


した女性は6ヶ月間再婚できない」とする民法の規定は、憲法違反だとして、


岡山県の30代の女性が、国に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、この


規定の100日を超える部分は「憲法違反」とする、初めての判断を示しました。


国への賠償請求は退けました。再婚禁止期間は、離婚した女性がすぐに再婚


して子どもが生まれた場合、子どもの父親が誰かを巡って争いになるのを防ぐ


ために、明治時代に作られました。しかし、医学も進歩し、DNA鑑定もできる


ようになっているのに、女性にだけ再婚禁止期間を6ヶ月も設けるのはおかしい


と言われてきて、1996年には、法制審議会が、父親を決めるうえで必要な


「100日」への短縮を答申しましたが、選択的夫婦別姓も合わせて、この民法


改正は、依然としてい実現していません。この判決は、当然のことながら、


よかったと思います。一方、結婚した夫婦の姓をどちらかに合わせる「夫婦同姓」


を定めた民法の規定は憲法違反だとして、東京都内の事実婚の夫婦など5人が


国に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷は、この規定は、


「憲法に違反しない」と判断して、請求を退けました。裁判官15人中10人の多数


意見、ということです。判決が、「結婚の際に氏の変更を強制されない自由」は、


憲法で保障された人格権にあたるとは言えないと指摘し、夫婦が同じ名字を


名乗ることは社会に定着していて、「家族の呼称を一つに定めることは合理性が


認められる」と判断しました。これは、残念な判決だと思います。選択的夫婦別姓


は、議員としても何とか実現したいと努力をしてきた課題です。1996年の法制


審議会の民法改正の答申でも、盛り込まれていたものです。審議会の答申が


出れば、政府提出法案として国会で議論されるのが通常ですが、この民法


改正については、自民党などの保守系の議員が反対して、提出されず、ずっと


野党の議員立法として提出してきています。判決では、旧姓の通称使用が


広まることによって、一定程度緩和される、と指摘していますが、結局、使えない


ことも多く、二つの姓を持つ煩雑なことになり、これによって課題が解消される


というものでは、ありません。女性が96%改姓していて平等でないこと、姓が


変わることでアイデンティティーが失われること、仕事の上で不利益が生じること、


同姓を強制している国は世界で日本だけなことなど、不便を感じる人がいるの


ですから、選びたい人が別姓を選ぶ権利は、憲法で保障されてよいものと考え


ていました。今日の判決で、改正には、まだ長い道のりが必要なのかとため息が


でます。少なくとも、違憲の判決が出た、再婚禁止期間については、国会が速やかに


改正法案を可決すべきだと思います。