改正労働者派遣法が、11日に成立しました。問題が多い法案で、9月1日


施行と当初されていたものが、その日までには成立せず、9月30日施行と


参議院で修正され、衆議院で再度、与党の賛成多数で可決されました。政府


与党が9月中の成立にこだわったのは、派遣労働者を保護する「労働契約


申し込みみなし制度」が、10月1日に始まるからです。これは、民主党政権の


時に作ったもので、違法な派遣労働があった場合、派遣先の企業は直接雇用


しなければならない、という新しい制度です。今回の改正労働者派遣法では、


これまで派遣の受け入れ期間に制限がなかった、秘書や通訳などの専門26


業務も、それ以外の業務と同様、同じ人が同じ職場では、派遣として最長3年


までしか働けなくなります。これまで派遣として働き続けていた専門職が、続け


られなくなります。一方、企業側にとっては、一人の派遣労働者は、最長3年まで


しか使えませんが、人を変えれば、その仕事をずっと派遣ですることができるように


なります。これでは、もともとの派遣法の趣旨である、臨時的一時的なもので、


常用雇用の代替にはしない、ということが、覆されます。安倍総理は、審議の中で


この改正で派遣が増えるとは思わない、と答弁していますが、正社員を、低賃金


で、人員整理がしやすい派遣労働者に置き換える動きが進んで、不安定な雇用が


広がる恐れが強いと考えます。同じ仕事を別の派遣で続ける場合は、労働組合の


意見を聞くことにはなっていますが、聞くだけで、その意見に従う必要はないので、


歯止めにはなりません。この改正労働者派遣法と同時に、維新が提案していた


同一労働・同一賃金の法律も成立しましたが、与党との協議で骨抜きにされ、


調査・研究を進める、というだけです。非正規社員が増えていることは、大きな問題


ですので、真の同一労働・同一賃金の法整備が急がれます。