昨年の閣議決定に基づく、安全保障法制について、政府が、自民・公明の
与党協議に、次々に法改正や新法の提案をしていますが、自衛隊派遣の
拡大ありきで、このままでは野放図に拡大される危険があります。まるで
ブレーキのきかない乗り物を作るようだ、あるいは、野放図な派遣拡大に
つかなる心配が大きい、などとメディアの社説でも、危険性を指摘しています。
これは、昨年閣議決定を急ぐあまりに、公明党は歯止めだとしていましたが、
具体性に乏しい、あいまいな表現になっていることが原因かと思います。
昨年夏の閣議決定とその後の政府答弁をみても、集団的自衛権行使の
要件について、政府は「我が国が武力攻撃を受けた場合と同様に深刻、
重大な被害が及ぶことが明らかな状況に当たりうる」として、日本が輸入
する原油が通過するホルムズ海峡の機雷除去も対象になる、としています。
その時の政府が、何ができるか、できないかは、政策的な判断をする、という
のでは、歯止めにはなりません。また、周辺事態法の抜本改正案を示し、
自衛隊の活動の地理的制約として機能してきた「周辺」という概念をなくす、
としています。周辺事態法から周辺をなくせば、何が残るというのでしょうか。
政府は、自衛隊の支援対象をアメリカ軍以外にも広げ、これまで認めてこな
かった武器・弾薬の提供や発進準備中の航空機への給油なども想定しています。
積極的平和主義を唱える安倍政権は、「切れ目のない法整備」「一国のみでは
平和を守れない」などの原則論を述べるだけで、できるだけ自衛隊の活動の幅を
広げ、安全保障法制の選択肢、外交の選択肢を増やそうとしています。公明党
には、約束どおりの歯止めを期待したいと思いますし、与党協議だけで実質的に
決めてしまうのではなく、国会で、是非、時間をかけて審議をしてもらいたいと
思います。世論調査でも反対が多いことをしようとしているのですから、、一人
ひとりが納得できるようにしてほしいものです。