今月下旬から始まる通常国会での、労働の規制緩和に関する法改正の行方が


心配です。年明けから、少しずつ、その内容が報じられています。「残業代ゼロ」と


裁量労働の範囲を広げることについて、厚生労働省案が明らかになりました。


残業代ゼロは、以前に、ホワイトカラーエグゼンプションといわれ、労働側等の


反対が強く、見送られたものです。今回は、対象者を年収1075万円以上の


労働者とする方向で調整されます。そして、これまでは為替ディーラーやファンド


マネージャーが想定されていましたが、金融商品の開発やアナリスト、情報通信の


システムコンサルタント、研究開発の業務などを検討対象に加える、とのこと。


働き過ぎを助長する、という懸念に対して、会社にいる時間の上限規制、一定の


休息時間を設けるインターバル規制、年104日の休日取得など、長時間労働を


防止する、いずれかの仕組みを導入することを条件とします。また、裁量労働制は、


あらかじめ想定した労働時間に応じて賃金を払うもので、その対象職種は現在は、


企画、調査、研究部門などの「企画業務型」と研究職や弁護士などを対象にした


「専門業務型」があります。このうち、企画業務型の対象職種の拡大が検討されます。


また、これまで企画業務型の裁量労働制を導入する会社は、支社や支店ごとに


労働基準監督署に届け出ることになっていましたが、本社が一括して届け出られる


ようにして、手続きを簡素化する、ということです。今後、厚生労働省は、労働政策


審議会で法改正の骨子を示して、月内にも審議会で労使の意見を取りまとめる方針


で、通常国会での成立を目指しています。いつも述べているように、働く人を


大切にしない成長戦略は、あり得ません。企業側の意見ばかりを取り入れていく


政権のやり方で、うまくいくはずがないと考えます。まずは、審議会で労働側の意見を


聞きおく、だけでなく取り入れて、国会で、十分な審議をしてほしいと思います。