例年なら年末に決着している、来年度予算案の大臣折衝が、総選挙で遅れて


いましたが、ようやく決着しました。焦点のひとつだった、介護報酬は、2.27%


の引き下げと決定されました。マイナス改定は9年ぶりですが、過去最大になる


ことは、官邸が、反発が強くなると止めた、ということです。この引き下げには、


介護費の増大を抑える狙いがあります。一方で、介護職員の処遇改善にあてる


報酬は確保して、賃金を1人当たり平均月額1万2千円上げられるようにする


とのこと。この処遇改善分を除くと、事業者が受け取る報酬は、約4%抑制されます。


特別養護老人ホームや通所介護(デイサービス)を中心に、大幅な減収になります。


事業者からは、処遇改善加算があっても、報酬全体が引き下げられると、経営が


不安定化し、雇用を減らしたり、正規から非正規に職員を換えたり、せざるを得なく


なるケースが出ると、不安の声が上がっている、と報じられています。介護施設は、


内部留保が多い、というのが引き下げの要因で、財務省は、ずっとそれを論拠に


しています。しかし、施設の規模は大小があり、この引き下げで経営できなくなる


施設が出ることが懸念されます。日本の介護保険制度は、設計された時の予想


より利用が多く、費用の抑制が、課題であり続けています。社会保障の費用は、


税で4割、保険料で6割の割合で担われていますが、介護については、税と


保険料を5割ずつにしないと、もたなくなるという考え方が、社会保障と税一体


改革の中で、自民党から出ていました。中長期的な視点で、考えていく必要が


あると思います。これも引き下げかといわれていた、障害者への福祉サービスに


応じて支払う報酬は、据え置きになりました。生活保護は、住宅扶助と冬季加算が


引き下げられます。来年度予算案、私たちの税金の使い道ですから、注目して


いきたいと思います。