日本の人口の将来展望を示す、政府の長期ビジョン案が明らかになったと
報じられています。女性が生涯に産む子どもの数、現在は1.43の合計特殊
出生率を、1.8程度に引き上げることを、「まず目指すべき水準」と原案では
していましたが、それは削除して、「若い世代の結婚・子育ての希望が実現すれば
1.8程度に向上する」という表現にした、ということです。これは、妥当な表現だと
思います。以前に、50年後に1億人を確保するためには、まず1.8を目指し、
2040年には2.07という数字まで示された時にも述べましたが、出生率に
目標値を国が定めると、産めない人、産まない人の自由な選択をしばることにも
なる。国が目標値を決めると、「平成版産めよ殖やせよ」になってしまうと批判
しました。カイロ宣言で合意した、子どもを何人、どの間隔で産むか産まないかは、
それぞれの女性が、そしてそのカップルが決定する、という世界各国の合意にも
反します。今回の長期ビジョンでは、人口安定に加え、生産性の向上を図れば、
50年後のGDPの成長率は1.5~2.0%を維持することが可能である、としています。
総合戦略案には、地方で30万人の若者の雇用を生む出す目標なども盛り
込まれます。地域に雇用を作ることは、子どもを産むかどうかに大きく関わり
ます。仕事がないか非正規で、お金がないから結婚できない、子どもを持てない
という若者が、たくさんいるのですから。そして、約束どおり、子ども・子育てを
支援する新しい制度を実現し、子どもの居場所を作ること、等を行っていけば、
若い人の8割以上が2人は子どもがほしい、といっていますので、結果として、
出生率が上がります。これが、正しい対応の仕方だと考えます。