日銀は、昨日10月31日の金融政策決定会合で、市場に流し込むお金を


増やす追加金融緩和を決めました。長期国債の買い入れを年30兆円増やし


80兆円にすること、株価連動の上場投資信託(ETF)買い入れを3倍の


年3兆円に、上場不動産投資信託(J-REIT)買い入れを3倍の年900億円に、


公的年金積立金の株式運用比率を倍増し全体の50%に、などです。日銀の


追加緩和は、昨年4月の過去最大規模の金融緩和以来で、株価は急騰


しました。ただ、政策委員9人のうち、民間からの委員4人が反対し、1票差


での決定でした。アベノミクスがうまくいっていない証左では、ないでしょうか。


第一の矢の金融緩和、第二の矢の財政出動という緊急の経済政策にも


かかわらず、景気は想定以上に悪くなっているため、決めたものといわれて


います。政権が、消費増税を決断しやすくするためとも、いわれていますが、


円安だけ進んで輸入品が値上がりし景気が悪化する可能性があり、賃金が


上がらない中で家計の負担が増える、また中小企業や地方との格差が一層


開くなどの副作用が考えられます。黒田総裁が押し切ったと報道されていますが、


これからの動向を注視したいと思います。また、年金積立金管理運用独立


行政法人(GPIF)の運用資産の割合の基準を変え、国内株式を12%から


25%に、外国株式を11%から15%に上げました。国債を減らし、リスクが


ある一方でもうけも見込める資産を買って、年金積立金を増やすためとの


ことです。株式市場に巨額の年金資金が流れこむという期待から、株高と


円安が進みました。しかし、老後の安心のための年金資産が一気に失われる


リスクも高まるので、これには賛成できません。昨年4月の大規模な緩和の


成果の精査もなく、さらに追加緩和するのは、時期尚早で、物価目標の2%


にこだわりすぎだと思います。