安部政権は、憲法改正の論議をせずに、憲法の解釈を変更して、集団的自衛権
の行使容認をめざそうとしています。再三、申し上げているように、権力をしばる
憲法の解釈を、権力の側が勝手に変えてよいはずが、ありません。何歩も譲って
集団的自衛権の行使を、どうしても必要な場合に認めるとしても、ひとりひとりに
わかるように議論が行われ、その結果でなければならないはずです。安部政権
では、行使の理念や手続きを定める新法制定は、時間がかかるからと先送りに
して、自衛隊法などの既存の法律の改正で対応しようとしています。行使を認めれば
専守防衛のための自衛隊が、世界各地での紛争などに関わり、相手側にも自衛隊
にも犠牲が出ることを覚悟しなければならなくなります。
政府は、これまで考えられていた、行使の理念を盛りこんだ「国家安全保障基本法」や
手続きを定める「集団的自衛事態法」の制定は、与野党との調整に時間がかかり、
国会審議も容易ではないことから、必要な法整備の先送りを考えているということです。
まず、この国会で、閣議決定で、憲法の解釈を変え、集団的自衛権を容認する。そして、
秋の臨時国会で、自衛隊の出動要件を定めた「自衛隊法」、日本の有事に関する
「武力攻撃事態法」や「国民保護法」等、朝鮮半島有事を想定した「周辺事態法」や
「船舶検査活動法」、国際貢献の推進に関する「国連平和維持活動(PKO)協力法」等、
組織に関する「防衛省設置法」等の10本を超える個別法制定をしようとしています。
こうした、数を頼り、支持率が高ければ、議論も無視して進めようとしている安部政権の
姿勢については、憲法学者からも「立憲主義の否定であり、96条改正よりもひどい」、
「進め方が乱暴すぎる」等の厳しい批判が上がっていると報道されています。
予算が、自然成立する日程になっている中、集団的自衛権についての動きから、目が
離せません。