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地方獣医の徒然記

祝日は午後休診。

でも、今日は手術が入っている。


午前中に電話が入っってきた。

隣家の犬に咬まれ出血している。

直ぐに来院してもらう。


出血がどれくらいか?

血管を切ってしまっているか?

出血量が多ければ、出血性ショックを起こす。


まずは診察してから。

診察前に想定はしておくが、

あまりし過ぎてしまうと、

最初の考えにとらわれ過ぎてしまい、

大事なことを見逃す恐れがある。


来院した犬は、一目で手術が必要と分かる傷あり。

痛がるので、細かくは麻酔を掛けてから確認。

まずは、静脈確保して点滴開始。

ショック予防と感染予防・止血用に静脈注射を行う。


出血は止まっているので、

大血管の損傷はないとみて良い。

手術までの時間はありそうなので、正午開始予定にする。


毛刈りをしっかり。

咬まれたり、事故の時は、

被毛が傷の中に入り込んでしまっているので、

強酸性水でしっかりと洗浄し毛を取り除く


背中・前胸部の傷は大きく、しかも深い。

生理食塩水で更に洗浄。

血管や神経が切れていないか確認。

そして縫合に入る。


しっかり咬まれてしまって、計8か所の縫合が必要な傷あり。

その犬には前にも咬まれた過去あり。

しかも同じ犬。

隣家の犬。


前に咬まれた時に、注意してくれるように話はしたそうだが、

またやられてしまった。

しかも今回はひどく咬まれた。

首も咬まれていたし、

ちょっとずれていたら、出血多量で間に合わなかったかも。


年も取っている子で、腫瘍もある。

麻酔が恐くて、飼主さんは腫瘍の手術を選択しなかった。

今回はそんな事も言っていられず、麻酔を掛けるしかない。

モニター上の値・波形は大丈夫。


そんな時にインターフォンが鳴る。

既に休診時間。

しかも手術中。

アポもなし。

病院内には電気が付いているから、

いると思ったのか、断続的に鳴らしている。


でも手術中。

手が離せないから、応答出来ず。


病院に電気が付いていても、

いない時もあれば、

いても出られない時もある。


説明も出来ないから、居留守と思ったかも。

仕方がない。


手術後の覚醒に時間が掛ったが、

麻酔中の事故もなく終了して、

入院室に寝ているから、良しとするか。


お隣さん同士でのトラブルは、

犬以外の面でもやり難くなるから、

躾をしっかりしていかないと、厄介な事になりますよ。