朗報 | 富士の裾野で想うVet

富士の裾野で想うVet

地方獣医の徒然記

動物病院の受付にあるPC。

その中には、動物病院の要とも言えるソフトが入っている。

顧客管理ソフト。


動物病院ソフトのパイオニア的存在の

メジャーなソフトもあれば、後発メーカーのソフトもある。


メジャーなソフトは、

顧客管理やその他がパッケージングされて、

ウチではこれは要らないなと言うのも入っている。

要らないと言っても削除はされない。

結果として金額も高い。

強気である。


その点、後発は小回りが利く。

各病院の要望に答えてくれ、スピード感もある。

コストパフォーマンスも高い。


当院で使用しているのは、名古屋の会社のソフト。

開業して少し経ってから採用し、

バージョンアップを繰り返しながら使用している。


その会社とは、電話が縁。

いつもなら、電話での勧誘みたいなものは即断ってしまう。

その時は、そろそろ導入しようと考えていた時で、

電話の対応も良かったし、まずは話を聞いてみようと。


専務さんが、その動物病院ソフトの旗振り役。

それまで東海3県の動物病院を対象に広げていたのを、

販路拡大を図り、静岡県に進出していく最初の頃に出会っている。


説明を受け、ほとんど即決で採用した。

採用の決め手は、その内容とコストパフォーマンスと共に、

その専務さんを信用出来たから。


同い年の専務さんで、リズムが合ったと言うのか、

そのまま他のメーカーに乗り換える事も考えず、

17年余が過ぎている。


製品を購入する場合、内容もさることながら、

その会社や担当者とウマが合う事も重要。

結局は人である、と。

製品を買う事は、その会社(店)を含めて買う事だと。


その専務さんが、数年前癌に侵されている事が分かった。

会社を整理し、自社ソフトの権利も他社に渡して、

従業員の雇用も確保して治療に専念した。


癌が進行している事は、会社を整理する時に聞いていたので、

その後、気にはなっていたが、祈るしかなかった。

病院の電話や自分の携帯には、その会社や

彼のケイタイが、そのまま登録されていた。


その彼から、仕事に復帰したと言う連絡を貰った。

病院用ソフトも、譲渡した会社と代理店契約を締結し、

販売元としてやっていくと言う。


彼が治療に専念してからは、

バージョンアップも1回あったかな?

仕事に対する熱意、製品に対する愛情。

やはり、その人を含めて製品を買うのだ。


癌からの生還。

ご自身やご家族には、御苦労が多かっただろう。

以前のように、今日は静岡、明日は神奈川・茨城とは

いかないかもしれない。

それでも、復帰出来て良かった。


病気に対する飼主さんの意識の向上、

動物用フードの向上、

獣医学の進歩、

検査機器の普及、

色々な物の相乗効果で動物の寿命は長くなった。


それと共に、

人と同じに動物も、腫瘍は多い病気になった。

早期発見・早期治療。

腫瘍に限らず、病気に関して言えることである。


家族の協力が必要なのも、人と同じ。

諦めたら、治る病気も治らない。

治そうと言う気持ちが大事である。


最期は、人である。