こんばんはスター
Minです!

部屋飲みしようという安住さんに対し、ここらでこっちのスタンスを表明しておこうと思い立った私。言いたいことがあると、安住さんへLINEします。

「え、なにかな?気になるなぁ」
「とにかく一度会ってお話したいです」

次の予定はすんなり決まりました。
休日の夕方早い時間からカフェでお話することで、マンボウの規制を避けることにしました。

私が伝えたいことははっきりしていました。

付き合っていない段階で部屋には行かない。

過去の経験から、これだけは守らなければいけないと思っていました。これを言って露骨に嫌がる男性なんて、その時点でアウトだと。

カフェに入るなり、安住さんはこの前と打って変わって固い表情です。

「安住さん、あの,,,」
「あ、ちょっと、待ってね」

そう言うと、安住さんは何を思ったか、自分の頬をパンパンっと2回叩きました。

「はい、覚悟決まった。どうぞ!」

いかり肩でこちらに身を乗り出す安住さん。
予想外のリアクションに驚きながらも、私はこう切り出します。

「安住さん、私は付き合うまではお互いの部屋に行くとか、そういうことはしたくないんです」
「うん」
「固いって思われるかもしれないですけど、ちゃんとケジメをつけてからが良いです」
「うん」

妙な間が空きます。

「よく分かるよ」
「ありがとうございます」
「あとは?」
「あと,,,?いや、それだけです」
「え?あ、そうなの?」
「はい,,,」
「なんだー」

安住さん、手元のビールを一口飲むと、盛大に笑いだします。

「いや、俺、てっきり振られるのかと思ってたわー」

よくよく聞くと、私から話したいことがあるとLINEが来てからというものの、安住さんはすっかり振られるものと思って、眠れぬ夜を過ごしていたそうなのです。

「そんなことないですよ。安住さんといると楽しいですし、正直もっとお話したいなぁっていつも思っています」
「ホント?」
「はい」
「でも、職場ではほとんど目を合わせてくれないじゃん」
「職場の人に気づかれたら、色々と角が立ちますから」
「じゃあ、気づかれなきゃいいってこと?」

安住さん、いたずらっぽく笑みを浮かべます。

「気づかれないように付き合おうか」

この人は本当に、百戦錬磨の恋愛猛者です。
50近いバツイチ子持ちのおじ様が、その巧みな会話術と、カフェの薄暗い照明も手伝って、その時の私には白馬の王子様に見えましたラブ

こうして、元彼・安住氏との2年もの交際が始まります。