それは昨夜の出来事です。

映画を観終わって、時計を確認すると夜中の2時過ぎ。

そろそろ寝なければと電気を消して、そのまま1階のリビングにあるソファで横になりました。

アラームをセットし、携帯を横に置いて目を閉じようとした瞬間にカチっと音がして、庭の照明が点きました。

ソファは窓際にあり、カーテンの隙間から灯りが漏れていたためにすぐに気づきました。

庭の照明は人感センサーがついたもので、自動的に灯りが点くものです。
けれど、家の前の道路を人が通っても点くことはありません。
たまに庭を通り過ぎる狸や猫がいると点くことはありました。

最初は「あれ、狸かな?」
とたいして気にも止めませんでした。


しかし、少しして照明が自動的に消えた瞬間に


カチっ


再び、照明が点灯しました。

「ずいぶんうちの庭でのんびりしている狸だな。」
その割に物音がしないことを不思議に思い、そのまま気にせず目をつむりました。


するとすぐに


カチっ

カチっ

カチっ


と照明が連続で点く音がしました。

えっ?と目を開けました。
カーテンの隙間から灯りが漏れています。

「なんで連続で?こんなこと今までなかったのに。まさか人がいるのか?」

今は草木も眠る丑三つ時。
ふいに襲われた恐怖にしばらく動けずにいました。その間何故か、照明の灯りがずっと点いたまま消えません。



ふっと部屋の入り口を見ると、猫が尻尾を逆立て辺りを警戒しながら、ゆっくり、玄関の方へ歩いていきます。


猫には人に見えないものが見える。
それを以前体験したことがあります。


いよいよ、怖くなり鼓動が早くなる。
身体は凍りつき動くことができません。



そしてまだ、庭の照明はついたままです。





これ出たわ。完全に。例の奴が。
いや、霊の奴が。

しかし、最近になって何故か俺は幽霊なるものにムカつく傾向にある。
前に夢で幽霊が出て来たとき、怖さより腹が立ちぶん殴ってやった。
出るんなら夜こっそりじゃなくて日中堂々と出てこい!この卑怯者め!!と。
その次の朝、横に寝ていた彼女に、なんで夜中私を殴ったのとひどく怒られました。
くそっ、全部幽霊のせいだ!
そんな事があり、あいつらには恨みがあった。


くそったれ!調子乗んなよ!ときょろきょろへっぴり腰で窓際に立ち、カーテンをがばっと開けた。




はい残念、何もいませんでした。




その後よく考えたら、さっき映画の途中で庭に出たとき照明が点かなかったから、雨で壊れたんじゃろうと気づきましたとさ。
原因が分かればなんでもないことでした。




そして、心に決めたことがある。
もう、実際に命の危険だとかそういう場合だけを怖いと考えるようにしようと。
頭の中の想像の恐怖なんかに踊らされるのにはうんざりだ。

人間はわからないことを怖いと思う生き物だと思う。怖い=解らないもの。
例えば死ぬのが怖いのは、それがどんなことだかわからないからじゃないかと。
死んだら天国に行って、輪廻転生しまっせが本当ならあまり怖くない。
けど、痛いのは嫌ヨ。

幽霊の正体がバレバレだったら今ほど怖くない。
幽霊は人に危害を加えません、昼に人から排出されたガス(屁)でできています、きたら消臭剤をまきましょう。だったらなんも怖くない。


もうね、起きてもないことに怯えるのはやめようと思いますよ。考えるのは恐怖ではなくて、どうするべきか。
怖くて目を閉じるのではなく、カーテンを開けて正体を知ってやる。



つまり。
頭の中の想像で怖がってないで、とりあえずやってから考えてやるって話しです。