早朝にちびこを外に帰した。

4日前に抜糸と同時にワクチン接種し、「傷口もきれいに治ってますね、食欲もトイレも大丈夫なら安心です」とクリニックの先生にお墨付きをもらった。抜糸の時も注射の時も一言も鳴かず暴れず「おりこうさんですね」とビックリされた。

そうそう、エサもキレイに食べるし、トイレも間違えずきちんと砂をかけて、毛づくろいを丁寧し、わが家の3女と4女に見習わせたいくらい。

 

 病院から戻ると、ワクチンの影響かずーっとキャットタワーの巣箱みたいな狭いスペースでじっとしている。予想はしていたけど、いつもより水もエサも取らない。トイレも使わないまま。

 でも、ここ数日間ゲージの中でくつろいで爆睡していた姿を見て、「ちびこにとって、この家の中にいるのが一番安心」と思っていた。

9割、当分うちで飼うつもりだったけど、残りの1割で、今まで通り歩いたり自分の身を守る為に動けるように慣らさなきゃと考えていたのか、家の中を自由に歩けるようにした。

 家人の考えは変わらず、「リリースする」と言う。

三食昼寝付きで安心して眠れる環境に慣れたちびこを、また危険な外にだすなんて!ひどい!!と思った。

でも、昨日一日中ベッドの下の奥の奥に隠れて出てこないちびこを見て、これが幸せなのかと考え直した。

家人は言葉数が少ないからいつもこちらが勝手に怒るけど、ちびこの性格から、どこかのお宅に譲渡しても人に慣れにくく、本人にとっても里親にとっても果たして幸せなのかと最初から見込んでいたのだろう。自分の心が整理できるまで待っててくれていた。

 

 朝4時過ぎ、いつものようにちびこの鳴き声が聞こえた。サッシ越しに庭をじっと見降ろしている。その後1階に下りて、また大きい声で鳴き始めた。もしかしてちび太が来ているのかも。

様子を見に行った家人から「ちび太が来たよ」と言われた時に決心がついた。「外に帰そう」

みんなにエサを与え、ちびこも食べ終わったのを見計らって、窓を開けた。ちび太が待っていて、おそるおそるちびこと鼻を突き合わせた後、二匹で外に出て行った。3週間ぶりの再会。変わらず仲良しでホッとした。

 庭を軽く走り回った後、いつものように隣家の物置の下に二匹でもぐって行った。これでよかったのだ。

その後もずーっと庭を見ていたら、ちびことちび太が代わる代わる寄って来た。ちびこに「いつでも帰っておいで」と声を掛けたら、すぐ部屋に入ろうとしたけど後ずさりして縁台でくつろいでる。

水とカリカリエサを置いたらすぐに飲んで食べた。

たくさん怖い思いをさせてしまったから逃げられても仕方ないけど、飼い主がいない子ネコが生まれることを防げたことだけは自己満足。

今後は敷地内にネコ砂を設置して、近所の糞尿被害を減らすようにしたいと考えている。

 

 家人の見立てでは、ちびことちび太の母親ネコを数軒先の老女が飼っているらしい。確かに「○子ちゃん、行くよ」と老女が母ネコを呼びながら犬の散歩に出かけるのを目撃した。悪の根源はここにあったか!

 ちびこがいなくなって淋しいけれど、朝晩エサをもらいに顔を見せてくれるだろうと思っている。

今後も決断に迫られる状況は続くのだろう。その度に自分ができることを都度考え、判断していきたい。

ネコたちも人間も強く生きて行かなければ。