今日も製造業の社長様向けのお話になります。難しい話ですから、関心のない方はスルーしてください。

前回は、賃率には次の3つがあるとお話しました。


1.損益分岐賃率

2.必要賃率

3.実際賃率



賃率とは、直接工が単位時間当たりに生み出す付加価値のことです。


付加価値は、売価-変動費です。いわゆる粗利益、加工高ですね。




損益分岐賃率を計算しますと、直接工が分当たりにどれだけの付加価値を生み出さなければ赤字になってしまうかが分かります。


仮に損益分岐賃率が100円/分ですと、直接工が分当たりに100円の付加価値を出さなければ赤字になるということです。



また、例として、必要賃率が140円/分として、実際賃率が120円/分だとします。


直接高が実際に生み出す付加価値120円は、損益分岐の100円を超えてはいます。



しかし、それは赤字にならない範囲での付加価値であって、会社が必要としている付加価値には分当たり20円足りないことになります。


こうした損益分岐賃率を超えていますが、必要賃率に足りない製品を「黒字製品」と言います。

(必要賃率も超えている製品は「優良製品」です)


そして、損益分岐賃率を下回っている製品は、「擬似赤字製品」です。


なぜ「擬似赤字」というかというと、付加価値がいくらか出ているということは、収益を出しているということです。


真性の赤字製品は、売価が変動費を下回っている製品です。

仕入が売上より高い製品ですね。


それが真の赤字製品です。




ところが、擬似赤字製品は、収益が足りないけれども、マイナスではないのです。


「売れば売るほど赤字」ではなくて、「売らなければ、更に赤字が増える」のです。


そこを間違わないようにしてください。




「擬似赤字製品」の基本は、成り行きを見て、切り捨てです。


しかし、収益が足りないといっても、付加価値(粗利)がいくらか出ているということは、それを切り捨てることによって、その粗利が消えてしまうのです。


もし擬似赤字製品に代わる収益性の高い製品がないようでしたら、切り捨ては辞めてください。


あるいは、擬似赤字製品を切り捨てたら、経営資源を他の製品に回せる、あるいは擬似赤字製品の部門をリストラするなど、明らかに経営上のプラスが出るようでしたら、切り捨てを行なってください。


損益分岐賃率を下回っているからといって、単純に切り捨てないようにして下さいね。




以上、簡単に賃率計算の仕方を述べましたが、メーカーでしたら製品の種類ごとに賃率計算をしてみてください。


すると、どの製品の付加価値が高いかが一発で分かりますし、どの製品にどれだけの工数を投入しているかが簡単にわかります。


よくある例が、付加価値の低い(儲からない)製品に、大きな工数をかけている場合です。


どんぶりで現場を見ると、実態が分からないことがあります。


半年に一度は賃率計算をして、製品の見直しをするとよいでしょう。



次回は、賃率計算を使った価格設定についてお話します。



夫婦円満、商売繁昌ですね!




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