町印度01: ディプジョティ(木場)【町中華があるなら町印度もある】2020カレー142軒293食
#町印度 01
★末尾で『町印度』を解説しています。

■チーズナンセット¥990
▷日替わりカレーを選択(卵カレー)
▷アイスチャイ
▶︎タンドリチキン1p ¥200

江戸川区、東陽町の釣具屋に糸の巻き替えのためにリールを預けて、その間にランチを食べることにした。時間は15時頃で通し営業の店を探したら、ここにくることになった。

ディップジョティDip Jyoti。



客はいない。昼下がりの陽が窓からさして店内の陰翳が心地よい。鄙びていて、長くやっていると見える。

メニューを見る

ナンの種類がいくつもある。

どれ、たまには普通のナンカレーでも食べよう。なんて思いつつも、チーズナンに心が動いた。

カレー行脚を重ねるうちに、物珍しいものやら、新進気鋭の店舗巡りが多くなって最近は普通のインド・ネパール料理屋のカレーとナンのセット、いわゆる「ナンカレー」を食べる機会から遠ざかっていた気がする。こんな機会でこそ、久々に食べるのもいい。

注文したのは、チーズナンセット。カレーを選べるのだけど、日替わりの卵カレーにした。


インドにはまず絶対ないと、断言してもいいくらい稀有な存在の日本人向け専用サラダ!


日本人大好きなドロドロインドカレーとチーズナン!


食べれば、卵カレーはバターチキンと全く同じ味のカレーソース。

豆カレーなどでも町印度はこの現象をよく見かける。でも、これはに多くの日本人の好みにおける最大公約数だと理解する。

食べても食べても楽しみの続くたっぷりのチーズナン。

ちいさく千切ってカレーソースに放り込んだ。これをスプーンですくって食べると、なんだか充実感があっていい。

そういえば、もうずっとナンとかチーズナンとかって食べていなかった気がする。久しぶりに食べると、とても美味しい。この鄙びた町印度の店風情。昼下がりの静かな時間。チーズナンをちぎっては食べ、ちぎっては食べする時間って、案外幸せかもしれない。

そうだ。その際だから、町印度を見直そう!だって、日本の飲食店の中で、どこの町にもあって外国人が料理する店といったら、ナンカレーを出す町印度くらいしか思いつかない。町中華は中国人もいるけど大半が日本人の店だ。でも、町印度はインド人や、ネパール人だったりすることが多い。これって、特徴的に面白い分野ではないか。

なんかやる気出てきたぞ!
めでたしめでたし

--------☆--------☆--------
以下は、『町印度』に関する長い長い御託。長いから注意。
--------☆--------☆--------
(町印度を見直そう!の長い御託)
木場あたりの町中の普通のインド料理屋さんに入って、あのどろどろのインドカレーとナンの定食を食べたのが久しぶりだったせいか、とても美味しかった。それでふと気がついた。世間に『町中華』という呼び方があるのに、なんで『町印度』とは呼ばないの?と。中華の場合は、中国の一般食堂にはない「ラーメン餃子」とか、「餃子定食味噌汁付き」とか、「炒飯/焼きそば、紅生姜付」とか日本にしかない定食メニューだけど、我々日本人はこれを中華料理と呼ぶ。だいたい中華って何だ?これらが最近では、住宅地に点在する日常使いの中華定食屋を『町中華』と呼んで区別している。これは、本格的高級中華、例えば聘珍楼や銀座アスターとは区別された、より大衆的定食屋を指す。ならば、『町印度』だって確実に存在する。この際、インド・ネパールだと呼び名が長くなるのでネパールも含めて『町印度』という呼び名で容赦してもらいたい。日本独特のインド料理定食屋が町のそこかしこにある。

《『町印度』の日本独特の要素》
♪住宅地たる郊外の町にあって、庶民的で地元民に愛されている。常連もいる。
♪基本ナンがでるナン&カレーが主役。ランチメニューは殆どがナンカレー(大半のインド人は日本に来て初めてナンを食べる。インド人店員曰く、ナンがないと日本人は来てくれない。ナンは日本人社会の総意で本格的と決めた日本独特の人気メニューだ)
♪オレンジ色のドレッシングのサラダがでる(インドには絶対ないと言い切れるレベルで存在しない。インド人店員曰く、日本人が喜ぶから出しているけど、このサラダに名前はない。)
♪バターチキンがやたら人気(日本人はやけに甘いものが好きだ。ナンにも合う)
♪チーズクルチャを、日本人にわかりやすくチーズナンと呼んでもてはやす。(殆どのインド人はナンを食べないから、チーズナンもない。でもチーズナンといえば日本人に分かりやすい)
♪インド料理と言うけど、実は店主も店員もだいたいネパール人(店主曰く、インド料理と言わないと日本人客が来てくれない。欧米に行けば寿司屋はみんな中国人だ。同じだよね。但し、ネパールの低地地区タライはインドと国境を接するので文化ご混在する)
♪インド・ネパール料理と看板にはあるけどメニューは圧倒的にナンカレー(日本人が殆ど知らなくて注文しないからネパール料理は肩身が狭い)

こんなふうに、日本人が本格的インド料理だと思い込んでいて、本当はインド現地とは全く違うと言うのが日本のインド料理屋。普通に考えて、町中華だってこんな感じだし、町で人気の洋食屋だってそうだ。こんな要素のある"日本人向けに変貌した日本独特の庶民的インド料理店"が町印度。あまりにも町に馴染んでしまった町中華のような存在なので、グルメサイトではあまり評価されず目立たない。面白いのは、本格的ではない"日本的/日本流"なのに、日本人が"本格的と信じていて"なおかつ"地元民に愛されていて""長年営業していている"こと。それが"郊外住宅地に主にある""安い定食屋"的なインド・ネパール料理店で、それを『町印度』と呼びたい。つまり『町印度』は、「普通」なのである。マニアやグルメたちが、グルメサイトでは、こう言う店が「普通」だと言って、何故かバカにする人もいる。評価批判している本人が普通の人なのに、なぜ普通ではいけないのか。みんな安くて普通に美味しいものを食べたいのに、なんで普通のものをまずいとかいうのか。普通だから地元に愛されるのに。町中華は確実に普通が喜ばれる。町印度だって、普通でいいじゃないか。どこの街にもあるジャンルの店なのに、そんなにどこもかしこも差別化したら、差別化されたものがまた平均値になるだけだ。つまり、本当は殆どみんな普通なのである。だから、GKは、「日本の町に馴染んだ『町印度』」という存在を改めて、その価値を見直したい。簡単に言えば「普通の再定義」だ。