とんかつ大富士(熊本天草)【くまモン生みの親ののソウルフード】2019カレー109軒151食目

209.3.21

Pen 2017 No.434 365日カレー天国 掲載店




■カツカレー ¥880


毎度述べているのだけど、ゴーグル仮面は2017年8月15日に刊行された雑誌Pen No.434, 365日カレー天国 に掲載された全てのカレーを食べる挑戦中で、すでに残り60カレーを切っている。そろそろ残るカレーは非常にハードルの高いものばかりとなりつつある。普通には行けない遠方だったりもする。それで、今回はその普通には行けない遠方の話だ。


小山薫堂氏をご存知だろうか。放送作家なのだけれどもいろんなことを仕掛ける人で、誰でも知っているのがくまモン。そう、くまモンの生みの親が小山薫堂だ。その小山薫堂氏の生まれ育った出身地が熊本県天草市。今日はそこへ向かうこととする。



GKは前夜熊本で宿をとった。その夜の間に、何人もの熊本市民に触れて、熊本県民がいかにくまモンを愛していて、いかに小山薫堂を誇りに思っているかが分かった。ただの放送作家ではなく、各地で確かな貢献の足跡を残して敬われていることを実感したGKは、これまでPenの紙面にある放送作家というだけしか知らなかった人物が、偉大で尊敬され愛されていることを知り、これまでの認識を大きく改めた。


朝は熊本駅前でレンタカーを借りて発進!今日の相棒は日産デイズ。


田舎道の一人旅は軽自動車が気軽でいいね。スカイレンタカー というところを予約したらずいぶんと安かった。


さて、熊本駅から天草の目的地までだけど81kmある。カーナビは約2時間半かかると示し、Googleマップは1時間40分だという。


東京から西に向かえば国府津駅くらいまでの距離、千葉なら茂原、茨城なら石岡、北に向かえば群馬の館林。それくらいの距離だ。とても遠い。


熊本から天草に行く道は島々の続く海岸線を行くので気分がいい。天草市までの倍の距離の牛深市なんてところはもう熱帯魚も泳ぐきれいな海のあるところ。若い頃には何度か足を伸ばしたものだった。


海を眺めつつ走る。走る、ビュンビュン=3


ゴキゲンダァなぁ。電車は宇土半島の根っこに位置する宇土駅で終わってしまう。田舎の道のりは公共機関ではかなりの無理がある。手段はあるけれども、時間によほどのゆとりがなければオススメできない。今日は夕方5時の飛行機に乗るのだから、熊本空港前で16時にはレンタカーを返却したい。というわけで、どんどん行くよ日産デイズ!

まるで、「あ、安倍礼司」のセリフのようだ。


宇土半島の先っぽまで行くと三角漁港。


この辺りの水辺は僕の経験では見る都度凪だ。静かな海の印象がある。ここを渡ると、天草五橋の島渡りが始まる。雨模様ながらも徐々に雨が上がっていく中、風光明媚な海の風景を過ぎていく。


くまモンには肥後の山の風景をイメージしていたのだけど、その生みの親を育んだのは美しい海の風景だったのだと気付かされた。


そして、天草市中心部にその店を見つけた。


『とんかつ 大富士』

到着時は12:10くらい。春分の日の昼に、入った時店内には客は1人だったが、ほどなくして出て行った。

とても素朴な風貌の大将、恐らく若大将だろう。お茶を持って出てきた。


使い込んだPenの表紙を見せて「この本を見て東京から来ました」と言い、カツカレーを注文した。先ほど奥に見えた女将さんも奥に入って、2人とも見えない。


店内には自分1人、テレビはちょうど徹子の部屋の時間で、このタイミングでなんと、福岡出身の武田鉄矢と熊本出身のコロッケが出演していた。2人がそれぞれに博多弁と熊本弁を話して盛り上がっている。思えば、入社した頃、福岡出身者と熊本出身者とが、「せからしか」と「しからしか」とどちらが正しいかと、九州以外の出身者にはどうでもいい論争を戦わせていた記憶が蘇り、思い出し笑いをした。


大将がカツカレーを持って出てきた。

物静かで優しげな目をした人だ。また厨房へと消えて行った。


さぁ、小山薫堂のソウルフードだというカツカレーを食べることになった。


普段とは反対方向の帰宅ルートを選んで、さらにレンタカーで2時間もまた帰路とは逆方向へと走ってきて、今それを目の前にしている。



食べれば、とんかつは心地よい弾力がありながら、一旦噛んでしまうと柔らかい。ジューシーでとても美味しい。



あとで水を持ってきた大将にこのカツはとても美味しいというと、はにかんだ様子で地元の豚だとだけ言い残してまた奥へと去った。地元の人にはただの地元の豚に過ぎない。東京から来た人には、これはごちそうだった。


カレーはこれはまた中学生や高校生が食べだしたら止まらなくなるような味だ。しつこくなく、甘くて優しい。けれどもじわっと辛味が後から静かに広がる。この優しくて美味しいカレーを食べて、きれいな海の風景に触れて育つって幸せだろうなぁ。


半分食べた頃に女将が出てきた。あの推定若大将のきっとお母さんだろう。そうかい、薫堂さんの記事を見てきたのかい。薫堂さんは本当にありがたくてねぇ。あんなに偉い人になるとは思わなかったのと語りだす。

この店のとんかつ、そしてカツカレーが小山薫堂にとって確かにソウルフードであることを頼まなくともお母さんは楽しげに語ってくれた。昭和51年に向こうの○○町からうちの隣に移転してきて商売始めたの。そしたら、薫堂さんはいっつもうちに食べに来るし、お隣だから出前もいつも取ってくれてねぇ…お隣さんで家族ぐるみの深い付き合いだったようだ。なるほど、ソウルフードどころじゃない。小山薫堂その人を育んできた味の一つだったのだ。


このお母さんも大将も素朴で優しげでいいなぁ、とGKは素顔の記念撮影をお願いした。


すーっごく遠かったのだけど、一杯のカツカレーのための旅、来てよかったな。

めでたしめでたし


大富士

https://tabelog.com/kumamoto/A4305/A430501/43006485/

0969-22-4628

熊本県天草市太田町16-23 



(その後のドライブ)

とんかつ大富士を後にして、カーナビは阿蘇熊本空港を目指すことになった。カーナビは2時間40分かかると言い、Googleマップは1時間50分かかるという。


少し海辺で休みたかった。それでリゾラテラス天草に立ち寄ることとした。上天草の松島の風景を楽しみながら一服の珈琲を楽しませてもらった。


潮の香りが心地よくて、ゴキゲンなのだった。


また、みかんの一種デコポン発祥の地。道の駅にある直売所でお土産にデコポンを買った。


地産のものを買うと、東京のスーパーでは絶対に味わえぬ美味しいものが買えるんだよねぇ。

楽しい旅行もおしまい。羽田に着いたら、友が待っている。また次のカレー屋に向かわなちゃ。


おしまい。


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