ロシアが起こした今回の戦争の背景の解説を嫌程見てきた中で、解りやすかったものの一つ。世界の紛争の歴史の中でどれだけ大国が自国の利益の為に世界を切り刻んできたかの足跡でもある。現在を理解し、これからどうあるべきなのか、考える指標となるだろう。

 

「18世紀以降、幾度となく大国が争い、戦場となってきたヨーロッパ。

1億人以上の命が奪われた血塗られた大地。一体なぜ、ヨーロッパで戦争が続くのか。

フランス、英国、そして18世紀初頭に新勢力として台頭したロシアが周辺国を巻き込み凄惨な地上戦を繰り広げる“戦争”を繰り返してきた。

それは今の世界情勢とつながっている。

土地の呪縛、避けがたい宿命の歴史をケンブリッジ大学の国際政治学の権威リチャード・ネッド・レボー教授と共にヨーロッパの衝突の起源を紐解いていく。

国家が戦争する“動機と理由”国家が戦争の道を選択する裏に潜む感情を掘り下げていく。」

 

印象的だったのは「過去にあった歴史を学んでも相手に恨み辛みの感情で対処しても何の解決にもならないと知ることだ」というレボー教授の言葉である。

 

過去を変えることは出来ない(ある国の人達はそうは思っていないようだけど)、

真実を曲げることは正しくない(ある国の人にとっては不都合な真実は真実ではない)、

そんな色々な事情を抱えていることを理解しつつ、

そんな我々の常識を遥かに超えた厳しい『理不尽』の世界に私たちは生きているのだね。

 

この番組の前に、「生誕100年 司馬遼太郎 雑談「昭和」への道(5)明治政府のつらさ~軍人勅諭」という番組も面白かった。

日本は何故あんな無謀な戦争をしたのだろう? 日清日露の戦いに勝った奢りから軍部が暴走したこと国民も加担したこと、そんな理解を更になぜ、そうなったかのその当時の社会の仕組みを解説してくれるものだった。特権を剥奪された士族の反発、明治政府を国の中心に据えるための天皇の担ぎ出し、平民で構成された政府軍を国の軍隊と位置づけ権威づける為天皇をそのトップとした。軍人勅諭によって軍が憲法を超える存在とした軍の傲慢。統帥権という魔力。やはり力💪でもぎ取った権力を支えているのは軍隊だった時代。そんな構図が見えてきて興味深かった。

だから思う。現代の日本に軍事力信仰なんて無い。軍隊が暴走しても、誰がそれを支持するだろうか。軍事力増強を怖がる一部知識人(池上ナントカさん)軍事力を制御不能と考えたら拡張主義の隣国からどうやって国を守る?

ウクライナの現実はそんな世界の非常識を教えてくれているのに。