第24話 『彼の想い』

 

ヨンヒの母の病気は悪化していた。

病院で見舞うヨンヒに母が残した言葉。

  あなた達と過ごした楽しい思い出をいくら考えても無いの。

  こんな母親だから、悲しまずにすむわね。よかった。私は母の愛を知らずに育ったの。

  いい母親に成れなくて御免ね。来世はいい母親に出会って可愛がってもらうのよ。

そうして、母は息を引き取った。

 

葬儀にはいつもの仲間が来てくれた。ウヨンも一人っ子、ジンジュは兄が二人と女兄弟がいない、姉になってと喪服を着て遺族の様に振る舞ってくれた。男たち三人もやってきた。

ヒョンジェは親が亡くなったように泣き崩れた。 ヨンヒは父が亡くなった時を思い出す。その時もヒョンジェが学友として来てくれ、必死に涙をこらえているヨンヒに泣かないと壊れるぞと。

今回も、ヒョンジェが居てくれ、温かい言葉を掛けてくれる。

   肩を貸すよ。友達でも岩でも木でもーー何でもいい。肩を貸すだけの存在でいい。

さすがに、心細いこんな時にはヨンヒも彼の肩に頭を預けるのだった。

 

サンヒョクの店、 ヨンヒがやって来る。

  オンマの後ろ姿に慣れたせいか、オンマの言う通り、いい母親じゃなかったからか、

  私は母の死を容易く忘れた。

葬儀に来てくれていた仲間が集まってきて、テーブルには豪華な食事が用意されていた。

  「素直になれないからお酒を頂戴」 隣に座ったスが注いだお酒をグッと飲み干し、

  「心強かったわ。泣いたらダメだと思ったの。頼ることはみっともないと思ってた。でも、

  みんなのお陰で耐え抜いてこられた。だから、私は自分に素直になれるわ」と微笑んだ。

スに、「あなたは泣かないと思ってた」  

  「俺は役に立ってないから」 「俺にもそれ位の良心はある」 「良ければ酒でも注ぐよ」

  「可愛い奴ね」   「ヌナ、好きにならないでね」  「大嫌いだからご心配なく」

  「俺の存在を無視するより、全然マシだ」 とウヨンの方を見る。

ヒョンジェが「乾杯しよう」 サンヒョク「賛成!」 「ヨンヒ、幸せになろう!大好きだよ」

 

店の外のベンチでウヨンが母に電話している。

  「オンマ、皆と一緒だよ。(ヨンヒは)大丈夫そうだよ」

ヨンヒが出てきた。それを見たウヨン、気を遣って「近いうちにお会いしましょう」といって切る。

  どうしたの?オンニ。  お母さんとの通話に感極まって泣くとでも? 気を遣わないで。

  ミヤネ。  ヒョンジェみたいに謝らないで。 ヨンヒを見つめて、

  「彼まで呼ぶとは思わなかった」  「彼にはとても感謝しているのよ」

  そういえば、イ・スを呼んで良かったのかしら?  オンニのお客さんだから・・・

  彼とはどうするの? あなたをずっと見つめてたの。分かってるでしょ?彼は本気よ。

  今日みたいな日に愚痴りたくないの。 頼むから愚痴って。今は他の事を考えたいわ。

ウヨンは言う。 彼からの贈り物は捨ててないの。 それを見ると思い出が蘇るの。

  悪い思い出も辛かった感情も、泣いた日も。 

ヨンヒ 「どうして?(そんなことを)?」

ウヨン 「人は記憶から恐怖を抱くんだって。恐怖があるからこそ、気を付けられる」

ヨンヒ 「鎧(よろい)ね」   ウヨン「まあ、そうかもしれない。情けないでしょ」

  「あなたの人生よ。あなただけの一番頑丈な鎧を着てーー

  そうすれば、恐れずに人生に挑めるようになるわ」

 

イ・スがウヨンを送って家の前

  送ってくれて、ありがとう。 気を付けてね。

  ウヨン。 何?  まだ、話が残ってる。  そうね…今日で終わらせよう。

  始めたかったのに、終わりなのか?   始められるのは友達関係だけ。それでもいい?

  友達にはなれない、二度と。   じゃあ、会えないわね。

  俺を嫌いでも、願いを聞いて欲しいんだ。

【かつて、別れを切り出した方が願い事を聞くと約束した】

  分かったわ、何をすればいい?

  一日だけ、別れる前に戻りたい。  いいわ。 部屋に戻るウヨン。

かつて二人で歩いた道を帰るス。あの日を思い出し、「嘘つき、 別れないって言ったのに」

 

この回はヨンヒの母の死があり、重く悲しかった。

折角帰国したスを受け付けないウヨンには腹立たしく、

イ・スの変わらない想いには共感して哀しかった。