第24話 『彼の想い』

 

”ウヨンのカリグラフィー”と文字のある建物の壁、

その教室の中でインタビューを受けるウヨン。

インタビュアー「ドラマ映画のタイトルでご活躍ですが、最も印象に残る作品は何ですか?」

 まだ、駆け出しの頃 仕事に自信も無くて、その頃に出した”私の日常、彼の旅”という

 写真集です。その作品で”作家”と呼ばれるようになり転機となりました。・・・

 

そのインタビューをスマホで見る男性が居るのはある空港、仁川行きの搭乗便のアナウンスが流れ、男性は立ち上がる。 帰国の途に就く イ・スの姿だった。

 

教室の生徒さんが帰って自分の作品作りに就こうとするウヨンに電話が。 ジュンス社長からウヨンが手掛けたグッズを届けるとのこと。 その教室を訪ねてきたイ・ス。 

突然の訪問に言葉の出ないウヨン。 

  アンニョン キョン・ウヨン 元気だった? スにも笑顔は無い。 

会いたくて何千キロもの距離を飛んできたというのに、一年以上も我慢したというのに、

喜びを表すことが出来ない。 悲しい再会だった。

そして、訪れたのは約束したジュンス社長。 予定だからとスを帰そうとするウヨン。

話は終わっていないというスに、また連絡すると言って帰した。

 

ソウルの自宅に戻ってきたスに電話が掛かってくる。 オン・ジュンスからだ。

  何の用です?  ウヨンさんとは仕事の話をしただけです。  用はそれだけですか?

  ええ、あなたに変な誤解をされたくないので。  なんでわざわざ?

  僕が原因で誤解されては困る。   誤解があった方がむしろ好都合だろ。

  しても意味がない。 (電話が切れる) (スは呟く)  俺は絶対に引き留めたい。

 

ヒョンジェがヨンヒの母を見舞っている。 病院にて

  ヒョンジェや。 はい、何でしょう? 私の心配はいいからヨンヒを連れて行きなさい。

  あの子の側に居てくれるなら安心して目を閉じられる。

  目を閉じたら彼女の晴れ姿が見られません。しっかり見ないと。

  お母さんもドレスを着てください。何色にしますか?

  大胆なのがいいわ、背中が大きく開いたのが。  はい、分かりました。

 

再び病院、ヒョンジェ ヨンヒの母の手を取って泣きながら「ごめんなさい」と謝る。

 

サンヒョクの店にイ・スがやってきた。

  繁盛しているな。 人気店なんだよ。いつ帰国したんだ?  今日だ。 

  帰国早々俺に会いに来たのか?  お前は三人目だよ。【二人目は誰? オンマ?】

  誰と会ったの?  ウヨニ。  会ったのか!   そんな顔するなよ! 

  別れただろ!未練があるから会いに行って、一人酒ってことはダメだったか。

  (店を見回し)随分変わったな。  あれから一年だぞ。  一年は長いのかな?

  それなりにな!俺は状況が変わった。(指輪をした手を見せて)結婚する!

  ・・・

  ウヨンは俺の話をしない?  ウン、・・・   本当に終わったのかな?

  なんで辛い恋愛をするんだよ。変に気を遣うから相手を傷つけるんだ。

  いつも一人だったから人との接し方が分からない。気にも留めなかった。

  初めて本音が聞けたな。

  俺が駄目にしたみたいでずっと後悔してる。それなのに、どうしたらいいか分からない。

  ウヨンもお前も同じだ。二人で遠回りばかりしている。

 

サンヒョクの店にジンジュも現れた。 イ・スを見つけて、 「来てるのね」

  追い出さないんだな。  なぜ?友達に会いに来ただけでしょ。

  消えろと言われるかと思った。   嫌いでもないし憎んでもいないわ。

  何で?  感情もすり減る、嫌い過ぎてどうでも良くなった、もう相手にしないわ。

  又、嫌われるよ。今日ウヨンに会った。引き留めるつもりだ。

  好きにしたら。あなたとは親しい間柄じゃない。彼女を通して抱いた感情だけ。

  彼女は近くに居た分もっと辛いと思うわ。

  ウヨンは連絡すると言った。だから、連絡を待ってるんだ。

 

スは海外でのクォン・ユラとの会話を思い出していた。

  集中したから随分早く終わったわね。  

  早く帰りたくて不眠不休で頑張ったんだ。

  でも、なぜ別れたの?  

  俺は一人が長かったから平気だったけど、ウヨンは違ったんだ。

  状況は変えられなかったし、辛いという彼女を引き留められなかった。

  自分勝手じゃ無かったのね。だけど、別れたくなかったのなら、

  手を放すべきではなかったわ。 時間の流れは戻せないのよ。

【時は戻せない。この事をスの両親も約一年前の二人の食事の時に言っている。母があなたに未練があるけど、それは私の問題よ、たまに会うのが気楽でいいの、と言った時、父が言う。正解が分かっても物事には期限がある。それを忘れていたよ、と】

 

スと両親、カフェで食事している。

  もう、海外には行かないの?  分からない。  また、行くの?彼女が寂しがるわよ。

  一緒に来れば良かったのに。  今度。 スの様子が変だと気付いた母は、

  何かあったら親を頼っていいのよ。その為に親は居るんだから。言ってなかったわね。

 

帰りの車中の父と母  「あの子、彼女と何かあったみたい」 「寂しさに耐えられる女は少ないのよ」 「俺のせいだ」 「そうね、私たちの責任だわ」 

 

サンヒョクはジンジュの両親への挨拶も無事に済ませ、二人は順調だった。

二人の格差?に両親も始めは渋っていたが、愛犬がサンヒョクを気に入ったことから、

サンヒョクの人柄を信用し結婚を許したのだ。

「犬は人を見抜くからって」 「普通それだけで許す?」 「占いでも相性抜群だって」

 

(第24話 続く)